Black, Kind, Memories
□第2章
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ようやく浜辺に着き、あたしは見慣れた背中に声をかけた。
『何してんの!――お姉ちゃん!』
あたしがお姉ちゃんと呼ぶ人は世界にただ一人、相田リコだけだ。
リコ「瑠衣!?どうしてここに!?」
『こっちのセリフだよ!どういうこと…』
疑問符を浮かべるあたしの耳に届いたのは、数人の足音。
拓人「瑠衣ー!」
『あれ、みんな…何で来たの?』
蘭丸「いや、突然部屋出て行ったし心配するだろ…」
『あ、そっか…ありがとう』
にっこり笑うと、数人が顔を赤くした。
大丈夫かな。
リコ「……これが瑠衣の天然モテスキル…生で久しぶりに見たわ…」
日向「…カントク、大丈夫か」
伊月さんがあたしたちに尋ねる。
伊月「どうしてここに?」
『雷門中のサッカー部で合宿に来たんです!』
あたしの言葉に、お姉ちゃんが顔を暗くさせた。
リコ「そうなの……」
木吉「監督、どうかしたか?」
リコ「あ、ううん…大丈夫」
拓人「(……?)」
話を聞くと、誠凛高校バスケットボール部も合宿に来ていたらしい。
お姉ちゃんも合宿に行くということは聞いていたけど、場所は知らなかった。
まさか被るなんて思わなかったし…。
リコ「あ、そうだ…ねぇ瑠衣ー、姉妹のよしみでちょっと頼みたいんだけどー…」
『何、お姉ちゃん?泊まる場所欲しいとか?』
リコ「うっ…そ、そうよ;;」
黒子「瑠衣さん鋭いですね」
『お姉ちゃんですからね』
黒子先輩に褒められて嬉しくなったあたしは、へへ、と笑みを零す。
そんな黒子先輩とあたしを、蘭丸と拓人はじっと見る。
リコ「ねぇ瑠衣お願いっ!」
両手を合わせてお願いしてくるお姉ちゃんに、あたしは顎に指をあてる。
『んー…鬼道コーチに聞いてみるけど…』
鬼道コーチの別荘だから、あたしが許可するわけにはいかない。
それでもお姉ちゃんは、にっこり笑った。
リコ「ありがとっ!」
『じゃあ聞きに行くからお姉ちゃんついてきて!』
お姉ちゃんは頷いて、バスケ部の練習を日向先輩に任せた。
別荘に戻る道中、お姉ちゃんはみんなに言う。
リコ「久しぶりね、神童くんと霧野くん!いつも瑠衣がお世話になってるわね」
拓人「はい、お久しぶりです」
蘭丸「いやいや、お世話になってるのは俺たちの方ですよ」
苦笑を浮かべる拓人と蘭丸に、お姉ちゃんは更に告げる。
リコ「狩屋くんと影山くんもよく聞いてるわ」
マサキ「ホントですか!」
輝「えへへ…ありがとうございます」
あたしは疑問符を浮かべ、どういうこと、と蘭丸を見る。
蘭丸「…瑠衣は気にしなくてもいいんだよ」
そう言って蘭丸はあたしの頭を撫でた。
なんだかはぐらかされた。
リコ「あと松風くんと剣城くんと西園くんと倉間くんと…」
お姉ちゃんがそう言うと、拓人たちは目に見えて落ち込んだ。
よく分からないけど、別荘に着いた。
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