Black, Kind, Memories
□第3章
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黒子先輩と火神先輩に連れられ、あたしはスイカ割りをすることになった。
火神先輩が持ってきてくれた小さめのスイカをセットして、黒子先輩が彼に目隠しを差し出しながら言う。
火神先輩がスイカを割る係(?)だ。
火神「けっこう見づらいな、これ」
黒子「外さないようにお願いします」
『火神先輩頑張ってください!!』
火神先輩はおう!、と返事をしてスイカの方に向くけど、そっちはスイカと反対方向だった。
火神先輩の近くに寄って、向きを正そうとする。
『火神先輩、向き反対ですよ!』
火神「あ、おう……っ!?」
瞬間、方向転換をしようとした火神先輩は砂に足を取られてバランスを崩した。
『きゃ…!!』
火神先輩は近くにいたあたしの方に倒れ、あたしはぎゅ、と目を閉じた。
ドサ、という音と、背に砂の感触。
黒子「瑠衣さん!!」
黒子先輩の声にゆっくりと目を開けると、目の前に目隠しをした火神先輩の顔があった。
黒子「瑠衣さん、大丈夫ですか!?」
『あ、あたしは大丈夫です』
黒子先輩の問いにあたしがそう答えた時、火神先輩の顔にあった目隠しが外れた。
火神先輩は驚いた。そりゃあ驚くだろう。
今のあたしは、火神先輩に押し倒されてるんだから。
火神「?、瑠衣!?わ、わりぃ!!!」
『大丈夫ですよ!』
いきなりのことで体が動かないのか、火神先輩は動こうとしない。
すると、若干声の低い黒子先輩が言った。
黒子「…火神くん、そろそろ退いてくれませんか?」
火神「っ!!!」
火神先輩は漸くあたしの上から離れた。
黒子先輩があたしに手を差し伸べてくれた。
お礼を言ってその手を取って立つと、黒子先輩が心配そうに言った。
黒子「瑠衣さん、頭打ったりとかしませんでしたか?」
『大丈夫です!火神先輩は大丈夫ですか?』
火神「あ、あぁ!!わりぃ、瑠衣」
少しだけ赤い顔を背けて、火神先輩はそういった。
黒子「………(なんか、面白くないですね)」
よかった、と笑うあたしと照れたような火神先輩の横で、黒子先輩は何故か黙っていた。
その後、無事にスイカを割って、3人で食べた。
まぁ、ほとんど火神先輩が食べてしまったので黒子先輩とあたしは少しだったけど。
(少しだけドキッとしたのは、あたしだけの秘密。)
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