Black, Kind, Memories
□最終章
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翌日、特にすることもなく、皆はいろいろしていた。
サッカーしたり、バスケしたり、勉強してたり。
あたしは勉強していたけど、別荘に鳴り響くチャイムで、玄関に向かった。
『誰だろう?』
葵「まさか、また誰か新しい人が来るんでしょうか…?」
『そんなまさか…』
ふふ、と笑って葵ちゃんと共に玄関に向かい、躊躇なくドアを開けた。
そこにいたのは、風磨くんだった。
風磨くんだけじゃない。
彼の後ろに、女性が見えた。
『風磨くん…?』
風磨「…瑠衣、あのな。会って欲しい人がいるんだ」
『…?あたし、に?』
風磨「…ああ。この人」
様子のおかしい風磨くんを疑問に思いながらも、後ろの女性に目を向けた。
長い綺麗な黒髪、誰もの目を引くであろう美貌。
葵ちゃんが小さく息を零したのが聞こえた。
「…久しぶりね、瑠衣」
…この人。
…モデルの、雪海藍さん…?
『…えと…雪海…藍さん…ですよね?』
藍「あら、他人行儀はやめてちょうだい。だって私達…」
風磨「葵ちゃん、皆を集めてくれるか?」
風磨くんが藍さんの言葉を遮るように言い、葵ちゃんがはっとして頷いた。
*
藍さんを連れてダイニングに向かうと、みんなは目を瞬いた。
みんなはいろいろな反応を見せた。
黄瀬「わぁ!雪海さんじゃないですか!サイン欲しいっス!」
笠松「うるせぇよ黄瀬ェ!」
日向「なんか…すげぇな、瑠衣」
伊月「ああ…有名人と知り合いなんだもんな」
天馬「わぁあ、瑠衣先輩くらい綺麗な人!」
マサキ「…先輩が大人になったらあんな人になるのかなぁ」
剣城「…狩屋、落ち着け」
蘭丸「…神童」
拓人「…ああ、多分そうだ」
今吉「…なんか、似とるな」
桜井「え、何がですか?」
今吉「…瑠衣と…雪海サンや」
藍さんと風磨くん、お姉ちゃんとあたしでテーブルを挟んだソファに座る。
藍さんは、ゆっくりと微笑んだ。
藍「集まってもらってごめんなさいね。私は雪海藍。よろしくね」
リコ「……それで、何の用ですか」
ぎゅっ
『…?』
隣に座るお姉ちゃんが、あたしの手を握る。
藍「…リコちゃん、大きくなったわね」
リコ「…今まで、何をしてたんですか。今更戻ってきても、瑠衣は渡せません」
…どういうこと…?
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