Black, Kind, Memories

□最終章
2ページ/12ページ




未だに理解できないでいるあたしを置いて、話は続いていく。


リコ「…今まで何をしてたんですか」

藍「リコちゃんも知っているでしょ?アメリカでモデルをやってたわ」

リコ「…瑠衣を置いて、放っておきながら…何を言ってるんですか…?」


握られた手が痛い。

お姉ちゃん、怒ってる…。

どうすべきか狼狽していると、後ろから声がかけられた。


黒子「…カントク、瑠衣さんを連れていきます」

拓人「…瑠衣は俺達で守りますから」

蘭丸「…お願いします」

『…黒子先輩、拓人、蘭丸…』


三人はあたしの後ろで、お姉ちゃんを見つめていた。


リコ「…瑠衣、三人と少し上の部屋行ってて」

『…う、ん』


お姉ちゃんの手が離れると、その手は黒子先輩に繋がれた。

そのまま手を引かれ、三人と共に二階に向かった。





『…どういうこと、なのかな…』


二階の、あたしが拓人たちと寝泊まりしている部屋でそう呟くと、拓人が口を開いた。


拓人「…瑠衣、昔の記憶があんまりないって言ってたな?」


小さくうん、と頷くと、拓人はあたしを見て言う。


拓人「…俺が話すよ、俺の知っていること」

蘭丸「!、神童、お前…」


声を上げた蘭丸に、黒子先輩も告げる。


黒子「…話した方がいいと思います」

蘭丸「黒子さんまで…」

黒子「…瑠衣さんは知るべきでしょう」


先輩の言葉に、あたしは呟く。


『…あたしの…過去…』

拓人「瑠衣、耐えられるか?」


いつになく真剣な顔をする拓人。

少し驚いたけど、あたしもその目を見つめ返した。


『…うん。…あたし、知りたい』


あたしが言うと、拓人は少しだけ微笑んで語り始めた。


拓人「…あれは、小学校二年の時、かな。瑠衣が転校生として、俺と霧野の前に現れた」

『…?、転校生?あたし、生まれも育ちも稲妻町だよ?』

拓人「まぁ聞いてくれ。その時の瑠衣は、俺達や他人を拒んでいるように見えた。誰も近づかないでほしいみたいだった」

蘭丸「…最初の頃、はな。…しばらくすると、瑠衣は俺達に馴染んできたんだ」

『………』


…少しずつ、思い出す。
あの時の気持ち。






次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ