黒猫の本棚、長い道のり

□足跡16つ目、銀髪の侍を探せ!
1ページ/12ページ




「この時間はだいたい静かねぇ」

「偉い人皆会議中だからよぉ」


真選組の食堂では女中が平和そうに昼食の用意をしていた


『…』

「あら、どうしたの?郁ちゃん」

『え?あ…何でもないです』

「そう?」

『はい』


にこりと笑って作業に戻る郁は、昨日の事を思い出す


あの後土方と一緒に聞き込みをしていると、近藤と決闘した人物像が分かってきた


銀髪又は白髪で、天然パーマの木刀を持った侍


銀髪天然パーマ
卑怯な手を使ったとはいえ、近藤に勝てる実力を持っている


それで連想される人物を、一人だけ知っていた


『…まさかね』

「?郁ちゃん、今なにか言っ」
「「副長ォォオオ!!」」


「きゃぁ!もう、また何かあったのかしら!」

「元気な証拠ねぇ」


急に真選組屯所に響き渡る隊士の声に女中達は驚くが、ここでは日常茶飯事な為、すぐに作業に戻る



原因の会議室では…


「局長が女にフラれた上!」
「女を賭けた決闘で汚い手使われて負けたって!」

「「あれはホントかァア!!」」


土方に全員の視線が集まっていた


「女にフラれるのはいつもの事だが、喧嘩で負けたって信じられねーよ!」
「銀髪の侍ってのは何者なんだよ!」
「白髪じゃなかったか?」
「どっちでもいいだろ!」

「で、どうなんだ!」


質問の嵐が収まるまで土方は煙草を吸いながら眺めていた


ふぅー

「会議中にやかましーんだよ。あの近藤さんが負けるわけねーだろうが
ったく、誰だくだらねぇ噂たれ流してんのは?」


「沖田隊長が!」

「スピーカーでふれ回ってたぜ!!」



ずず…

お茶を啜り、ニタリと笑う沖田は土方を見ながら続けた
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ