薄桜鬼
□時の流れ
1ページ/3ページ
名無しさんside
時代が明治へと変わって少し経った。
私と風間さんは、人里離れた山のふもとでひっそりと暮らしている。
私は久しく夢を見た。
新選組が…、 近藤さんや土方さん、 皆がいて、 賑やかにおかずの取り合いをしている食事風景が目の前に広がっていた。
『お、名無しさん!今日の焼き魚、めっちゃ美味く出来てんじゃん!最高だよ!』
平助君の無邪気な笑顔、
『何してるの?ボーッと突っ立ってないで、こっちに来なよ』
悪戯気な笑みを浮かべて自分の膝を指差す沖田さん 、
『名無しさん、ここ空いてるぞ』
『おお、そうだな!ここに来いよ名無しさんちゃん!美人が近くにいれば酒が倍美味くなる!』
お酒で顔を赤らめた原田さん、永倉さん、
『名無しさん、ここが安全だ』
そう言って1人分の空間を作ってくれる斎藤さん、
『好きな所に座ればいいだろうが』
困惑する私に呆れたように声をかける土方さん、
全部が全部、懐かしくて、 側にいたくて、 手を伸ばしたり、小走りに追いかけてみるけれど、 どんどん消え行く光景を掴むことが出来なくて、
気がつけば1人、
暗闇に立っていて、
全ては過去であると痛感してしまう。