黒バスの引き出し

□寒い夜
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ガラガラガラガラ。

毎日毎日、文句一つ言わずにこいつは俺を乗せてリアカーを引く。

勝負の決まったじゃんけんも、信号待ちの度にやって、負けちまった、次こそはとその鷹の目を細めて笑う。

冬も深まってきて手がかじかむだろうに、今日は星が綺麗だなんて言って静かな住宅街を音を立てて通る。

「しーんちゃん、着いたよ」

「あぁ。」

じゃあ明日、迎えに来るからと高尾は笑った。
いつもいつもこの笑顔に救われている。

今日くらい褒美をあげようか。

「高尾。」

「ん?なにしんちゃ…って!あぶね!!」

「ちゃんと受け取れ」

「いきなりお汁粉投げるとか俺じゃなかったら顔面直撃だぜ!?…てかなにこれ。くれんの?」

「自販機から2本出てきた。」

「ぶはっそんな訳あるかよ」

うひゃひゃと笑う声音が耳に心地よい。

「今日はデレなんですか?エース様」

「うるさい。帰れ。」

「はいはい。じゃあまたね」

ひらひらと手を振る背中を少しだけ見送る。
明日もあの笑顔が輝けますように。

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