黒バスの引き出し

□幸せ
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今日は何だが寝付けなくて隣で寝る恋人を眺めていた。

艶やかな金髪の髪に長い睫毛。

白くてツルツルの肌に今は閉じている琥珀の瞳。

何から何まで自分と正反対な気がする後輩をずっとずっと眺めていた。

自分はこいつと一緒にいる権利なんてあるのだろうか。

女に飽きたから自分と付き合ってくれているのだろうか。

黄瀬はモデルをやっているから自分みたいなゴツくて無愛想な男より、
柔らかくてふわふわしている可愛らしい女性が周りにわんさかいるだろう。

いつか唐突に捨てられるかもしれない。

その時はきっぱり別れてきっと後で後悔して泣くのだろう。

夜は暗くて感傷的になってしまう。

そんな事を考えていたら今黄瀬と一緒に居れる事がとても奇跡に思えてなんだか泣けてきた。

朝起きると隣にこいつが居て。

学校に行っても昼休みになると必ずご飯に誘いに来て。

部活でも一緒に大好きなバスケが出来る。

夜寝れなくて淋しかったら隣に来てくれる。

こんなにいっぱいいっぱいの幸せをくれるのに自分は素直じゃないからいつ嫌われてもおかしくない。

でも愛おしい。

もう自分は黄瀬から離れられないだろう。

別れたくない。こいつに幸せを貰いたい。

ぎゅっと黄瀬に抱きついた。
ふわっと自分と同じシャンプーの香りがすることでさえも愛しく感じる。

「涼太…」

せめて、寝言のふりをして素直になれれば。

黄瀬も抱きしめ返してくれた。

涙がぽろっと零れて黄瀬はそれを静かに舌で掬ってくれた。

もうこの際起きてても寝てても構わない。
とゆうかもう起きてるだろ。これ。

黄瀬が一層すり寄ってきて甘いにおいに包まれた。
ふんわりきた眠気が襲ってきて眠りについた。

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