黒バスの引き出し

□風邪ひき宮地
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「フンフフーン♪」

今日の俺はいつもより上機嫌だ。
なんてったって赤司に休みを貰って宮地に内緒で東京に来たからだ。
宮地の驚く顔が目に浮かぶ。
いや、蹴られるかもな。
まぁいいや
スキップまじりに人混みの中を進む。

駅から少し歩くとこじんまりとしたアパートがある。それが宮地の家だ。

さっそくチャイムを鳴らす。

ピンポーン

「みやじーーー!!!」

ガチャ

「んだよ…うるせぇな…ゴホッ」

「ん…?宮地?」

そこには黒いスウェットを来て真っ赤な顔でマスクをした宮地がいた。

「えーと…変な薬でも盛られた?」

「馬鹿かてめぇは。轢くぞゴホッゴホッ」

「あぁっあんまりしゃべると…」

「誰のせいだよ。とりあえず帰れ。風邪ひいてんだよ。うつる。」

こんな宮地を置いて、はい分かりましたと帰るほど俺は酷い人間ではない。

「やだよ。こんな宮地置いて帰れないから」

「何言ってんだようつるって…なに勝手に入ってんだよ」

「お邪魔しマース」

半ば強引に家に入った。

「宮地薬飲んだの?」

「飲んだに決まってんだろゲホッ」

本当に辛そう。

「とりあえず寝なよ。洗濯とかしとくから。」

「…おう。」

もう反撃する元気もないのかな。
それから洗濯機を回して換気をして洗い物もした。
離れて暮らしてるから、宮地にいろいろ世話を焼けるのは嬉しかった。

「宮地汗かいてない?体拭こうか?」

「え…お前病人襲うとかマジないからな」

「えっ!流石になんにもしないよ!俺本当に心配して言ってるの!」

流石に俺もそこまでやばくないから。
渋々宮地も了承して体を拭かせてくれた。

なんだかんだと夜になり、宮地はぐっすり寝ている。
寝てることをいいことに宮地をじっくり観察する。
睫毛長いなぁとか
肌スベスベだなぁとか

近くだからわかることもあった。

熱のせいで頬が紅くなってて、汗で濡れてる体もなんだか卑猥だ。

だめだな。病人に発情するとか。買い物ついでに頭を冷やしてこよう。

立ち上がって玄関に向かおうとすると服の裾を引っ張られた。

「あれ?宮地起きてたの?」

「帰るのかよ…?」

熱のせいで宮地の目が潤んでて頭がクラクラする。もともと宮地は童顔だから半端じゃないほど可愛らしい。

「帰らないよ。今日は泊まる。今はスポドリ買ってこようと思ってさ」

「ん…そうかよ」

普段だったら泊まるなとか部活あるだろとか言ってくるのに、熱があるからかな。素直で可愛い。

「そばにいた方がいい?」

それには宮地は答えなかった。
返事のかわりに服の裾をずっと離してくれなかったからそばにいていいんだと解釈した。

「なんか今日の宮地、素直だし可愛いね」

そう言うとうるせぇと言って布団に潜り込んでしまった。

真っ赤な耳は熱のせいじゃないと俺でもわかった。

宮地が元気になったらたくさん相手をしてもらおう。素直な宮地も可愛いけどやっぱりツンツンした宮地がしっくりくるな。
早く良くなれよ。
蜂蜜色の頭を撫でながらそう思った。

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