黒バスの引き出し

□真ちゃんのテーピング
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真ちゃんはいつも左手にテーピングを巻いている。

それは丁寧に毎日欠かさず。

それを外す場面が2つある。
1つ目は、バスケをする時。
2つ目は、俺に触れてくれる時。

「はぁ…っ、しんちゃっ…」

熱い。暑い。
真ちゃんの肌は白いから赤い鬱血の跡がよく映える。

「待ってろ。テーピングをとるから。」

バスケをする大事な大事な左手で俺に触れてくれる。

バスケットボールと俺しか知らない真ちゃんの左手の感触。

爪が整えられてて、すべすべしてて、少し、テーピングのにおいがする。

でも今までバスケットボールの方が真ちゃんと付き合い長いし、俺よりこの左手の感触を味わってるのだろうか。

「バスケットボールに嫉妬しそうだよ。」

「は?」

「ねぇ真ちゃん。バスケットボールより俺に触れてよ。バスケットボールより俺を愛してよ。」

「そんなの、言われなくても」

真ちゃんは最後まで言葉を言うことなく、俺を貫いた。

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