黒バスの引き出し
□チャリアの家デート
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1月下旬。
雪が降らなくても当たる風は冷たく、防寒具を纏わなければ歩けないほどの寒さだ。
ウィンターカップを終えた秀徳高校では2週間後にテストを控えていた。
特別な理由がなければ部活動は全部停止になり、学生らしく勉強に集中する時期、緑間は相棒であり恋人の高尾の家に居た。
何故、高尾の家か。それは高尾が原因だった。
ウィンターカップを終え、少し気が抜けたのか高尾は授業中に居眠りをする事が多くなり、勉強もそれほどしていなかった。
それが今となって仇となり、緑間に勉強を教えてもらうことになってしまった。
高尾にしては一緒にいられて嬉しい限りだが、緑間はせっかくの休日を他人に費やす事が納得できないのかさっきから眉間に皺を寄せて高尾のノートを凝視していた。
「…見事に真っ白なのだよ…」
「えへへ…少し寝ようと思うと授業終わるまで寝ちゃってさ」
高尾のノートは見事に真っ白だった。書いてあってもバスケットボールの落書きや、日付のみ。
緑間は下がった眼鏡を中指で押し上げた。
「ありえないのだよ」
「ごめんって…後でおしるこ奢るし…ってか真ちゃんも後ろの席なんだから起こしてくれたっていいじゃーん」
ぶーっと口を尖らせて高尾が拗ねると緑間は視線を逸らして言った。
「お前が居眠りをしていても俺には関係ないのだよ」
「なにそれひどー」
高尾が机に突っ伏すとすかさず緑間がノートで高尾の頭をはたいた。
「サボるな。帰るぞ」
「あ、やだ!わかったよやるから真ちゃぁーん」
帰るそぶりを見せる緑間の腕に泣きついて渋々ノートに問題を写すことにした。