マギ
□繋いだその手を
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「紅明様は・・・離したりしませんか・・・?」
「・・・名無しさん?」
「私を・・・離したりしませんか・・・?」
「何故そのような事を・・・。」
普段泣かない名無しさんが、一粒の涙を流す。
見たこともない婚約者の表情に戸惑ってしまう。
分からない・・・。
何故名無しさんがあのような事を口にしたのか・・・。
はて、私が何か粗相をしたか?
でも、身に覚えがない。
「最近、よく・・・見るんです。」
見る?
一体何を・・・
「紅明様が、どんどん先に行っちゃうんです。繋いでいた手も・・・気づいたら離されている・・・。」
「・・・・・・。」
「そういう夢を・・・よく見るんです・・・。」
話を聞き終えると、私は名無しさんの手を握った。