居場所
□第4夜
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「少し、過去の話をしましょうか。」
「え・・・でも、私なんかが聞いてもよろしいんですか?」
「大丈夫だよ。じゃあ紅明、よろしくね?」
「私・・・ですか?」
「話を振ったのは紅明でしょ?それに、私なんかよりよっぽど説明上手だし。」
「わかりました。では私が代弁しますね。」
私は目を閉じ、あの日のことを思い出す。
「今からちょうど、17年前のことになります。」
当時兄王様が12歳、私が10歳、紅覇が1歳のときですね。
『帝都前に人が倒れていただと?』
『・・・どういうことでしょう。』
あのときは兄王様と同じ部屋にいました。
そこに侍女が入ってきて、私たちにそう告げたのです。
まだ子供だった私たちはその話に興味が湧き、倒れていた人が運ばれた部屋へ行ってみることにしました。
『こ、紅炎様!紅明様!』
部屋に入ると侍女たちが頭を下げた。
部屋に父上の姿はなく、何人かの侍女達がその者の目覚めを待っているように見える。
看病を任されたのだろうか。
『こいつか、父上が拾ってきた者は。』
『かわいそうに。まだこんなに小さい女子ではありませんか・・・。』
私と兄王様が最初に抱いた名無しさんの第一印象は
「よそ者」
「可哀そうな子」
と言った決していいものではありませんでした。