居場所
□第6夜
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紅明という言葉に反応した。
少し卑怯なやり方だが、名無しさんは紅明を出さなければ納得しないだろう。
「・・・わかった、行く。」
ほら、な。
『明兄・・・ずるいや。』
紅覇の言葉を思い出す。
本当にその通りだな。
「助かる。夕刻にはもう出るから準備をしておけ。」
「わかったよ。」
そういい、名無しさんは俺の部屋を去っていく。
・・・紅明は、今紅覇と共に外へ出ている。
紅覇曰く、別れを言わず急にいなくなった方が効果があらわれやすいとか。
そのため、紅覇が紅明をほぼ無理矢理連れ出したのだ。
・・・夜、紅明に説明をせねばならん。
「・・・どう思うものか。」
俺や紅覇とは違い、紅明は国で事務仕事。
ずっと国の中にいた紅明と名無しさんは、ほぼ離れたことがない。
紅明の反応が楽しみではある。
・・・さて、では俺も行くか。
「ジュダル。」
この国の神官兼マギであるジュダルを呼ぶ。