マギ
□愛しいから
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よく晴れた日。
私はいつもどおり軍議を終わらせ、仕事に取り掛かっていた。
ずっと室内にいる私にとって天気など関係はないのですが・・・。
今日は晴れているので、鳩に餌やりでも行きましょうかね。
そんなことを考えていると部屋の扉をたたく音がした。
「あの、紅明お兄様。少々お伺いしたいのですけど・・・。」
「・・・紅玉?」
部屋に入ってきたのは紅玉。
少し申し訳なさそうにしながら私に問いた。
「名無しさんちゃんがどこにいるかご存知ではなくて?」
「・・・名無しさん?」
「はい、どこを探してもいなくて・・・。名無しさんちゃんはお兄様の正妻ですので、どこにいるかご存知では・・・と。」
紅玉の言うとおり、名無しさんと私は婚儀を執り行った仲。
名無しさんは両親をなくして行き場がない所を、皇帝である私の父にひろわれた。
そして、煌帝国に来た。
私は名無しさんを見た瞬間、心を奪われた。
とても、美しい姿をしていたから・・・。
女性に興味がなかった私らしくもない。
最初は侍女として働いていた名無しさんも、私のことが気になっていたようで。
ですので、身分の違いを恐れながらも名無しさんが私に想いを伝えてくれた時、正直に嬉しかった。
そういえば、名無しさんと紅玉は仲がよろしかったはずですね。
「・・・お兄様?どういたしました?」
紅玉が私を覗きこむ。
「・・・っ、なんでもありません。名無しさんなら随分前に神官殿と外へ出ているようですよ。」
「ジュダルちゃんと!?」
「名無しさんにご用でも?」
「あ、はい!でも大したことじゃないので問題ありませんわぁ。」
紅玉が話し終わると同時に、紅覇があわてた様子で部屋に飛び込んできた。