居場所
□第3夜
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「あ、いたいた。紅明ー!」
「・・・名無しさん?」
捜していた紅明を見つけ、声をかける。
ハトの餌やりをしていたみたい。
「どうしましたか?」
「うん、これ作ったんだ!紅明にと思って。」
「あぁ、饅頭ですね。いただきます。」
私の手から饅頭を受け取り、口に運ぶ紅明。
私はよく厨房を借りて趣味の料理をする。
作る度に紅明たちに感想を求め、食べてもらっている。
おいしいって笑顔で言ってくれると嬉しいから。
これだからやめられないんだよね。
「いつも通りほど良い甘さで食べやすいです。今日のもとてもおいしいですよ。」
そう言ってほほ笑んでくれる。
そんな紅明の笑顔が大好きで。
「ありがとう。」
私も精一杯の笑顔で返す。
「はい、ご馳走様でした。」
「あ、ごめんね。餌あげてたところ・・・」
「いいえ、よければ一緒にいかがですか?」
「いいの?やりたい!」