居場所
□第6夜
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「・・・へ?」
「もう一度言う。シンドリアへ訪問し、少しの間滞在して来い。」
「ごめん紅炎、もっかい言って?」
「・・・名無しさん、もう7回目になるぞ。」
名無しさんと紅明の距離を近づけるため、一旦二人を離すということに決めた。
シンドリア国王のシンドバッドにももう了承済みだ。
そこまでは順調だった。
・・・やはり難関は名無しさん。
呼び出して同じことを7回も言わされ、理解しない。
どんどん表情も曇っていく。
・・・それもそうか。
ここへ来てから、煌帝国外へ出たことがないのだから。
「ち、ちなみに少しってどのくらい?」
「できれば1、2ヶ月。」
「え、それ少しって言わない。1週間くらいじゃないの!?」
「それでは意味がない。」
「い、意味って・・・。」
言いたいことはわかる。
行きたくない。
必死にそう伝えているように見える。
「煌帝国のためだ。シンドリアの文化や歴史、人々の対応を見てこい。シンドリアという国を知るために。」
「・・・なんで私なの?」
「男より女の方があちらも警戒しないと考えた。シンドリアの情報を手に入れれば、こちら側としては得だ。もちろん紅明にとっても。」
「・・・っ!」