居場所
□第9夜
1ページ/6ページ
「明兄ー、明兄ってばー!」
「・・・・・・。」
「紅明、紅明!!」
「・・・っ!あ、兄王様に紅覇。いかがなさいましたか?」
名無しさんがシンドリアへ行ってから紅明の様子がずっとこうだ。
一日中宙を見ていることも多い。
仕事にもあまり集中しておらず、ペースが一気に落ちた。
「(炎兄ー、これはまずいよー。)」
「(ふん・・・ある意味効果は絶大だろう。)」
・・・だと思うが、このままでは煌帝国の政情に関わる問題になる。
そういった事務仕事は紅明に任せている為、紅明が機能しない限り煌帝国の政治が滞る。
もうあいつがシンドリアへ行って3週間になるが、あちらからも一向に連絡が来ない。
「・・・一度連絡を取ってみるか。」
「・・・っ!名無しさんにですか!?」
「うわー、明兄反応はやー。」
「違う、シンドバッドにだ。」
「・・・そうですか。」
「明兄ってこんなわかりやすい反応してたっけ・・・。」
全く、名無しさんがいないだけで紅明がここまで集中力がなくなるとは。
それにシンドバッド王もなにをしている・・・。