神威/甘

□短編/神威『嫌いじゃないよ』
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『またいらして下さいね。』




少女はそう言うと、満面の笑みを浮かべ、客の後ろ姿を見送った。





少女の名前は、鈴。


そして、ここは少女がたった一人で営む和菓子屋、『鈴音色:すずねいろ』。



両親は幼い頃に他界しており、鈴は祖母が営んでいたこの鈴音色で暮らしていたが、祖母も他界してしまったため、現在は鈴が一人で営んでいた。




鈴の優しい性格と、持ち前の明るさで店は人気だった。


鈴に会いたいがために、和菓子を食べに来る客も少なくはない。



そして、鈴の作った和菓子が最高に"上手い"。



絶妙な甘さと、色合い。

人々はたちまち笑顔になった。






『…あ、明日の和菓子の材料がないわ。
…もう夕方だし店を閉めて、
買いに行こうかしら。』




鈴は、店ののれんを畳んで、蝶が散りばめられているお気に入りの緑の着物に着替えた。
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