生きた証・番外編

□そして
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あの日のことは
生涯忘れられない。

【子供ができた。別れてくれ】
そう言って両手をついた彼…

私の背を目の当たりにし
青ざめるまみ姉…


正直…私は


【これでまみ姉に勝った】

そう思っていた。



だが…
それが間違いだったと
思い知らされた。



生まれたのは

男の子だった。

龍斗と名付けた。


私には龍が全てになった。
龍のために…龍が…龍に…

そんな私にある日
彼の父親が

『彰子さん…あんた
自分の立場わかってるか…』

そう言った。父は続けて…

『博司も龍も…
あんたのもんであって
あんたのもんではない。

あんたも博司のもんであって
そうやない。

あんたが龍一色の毎日を

送るんは…
まあ普通の家庭なら
許されることやろ…

やけどウチには許されん…』


父の言葉に…
何も言えなかった。
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