オロチ・ザ・ワールド

□天に祈る(典韋+曹操)
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月もない夜。

周りは闇に包まれている。
なのに、なぜか暗さを感じない。

暑くも寒くもない。

そこに、典韋は立ちつくしていた。

そしてぼんやりと、君主である曹操のことを思った。

曹操なら、今頃幕舎のなかで眠っているはず。

だが典韋は、曹操のことが気になり、あたりを見回す。

周りは闇に包まれている。
なのに、なぜか暗さを感じない。

ただ、それだけだった。
他になにもない。

典韋は不安にかられた。

辺りを見回す。そして走りだす。
徐々に足を速める。

なのに、足はだんだん重くなる。
まるで泥沼に腰までつかっているようだ。

景色もいっこうに変わらない。

典韋は益々不安になった。

主の名を呼ぶ。
だが、なぜか声が出ない。

息も苦しい。足も重い。

典韋は慌てた。

全身をばたつかせ、もがき、何度も何度も、主の名を叫ぶ――


‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

ゴッと鈍い音と足先に痛みが走った。

「痛っ!?……?」

意識と目が覚めるにつれ、足の痛みが徐々にはっきりしてくる。
見れば、右足が柱を蹴っていた。

「はぁ……夢か……」

――妙な夢を見ちまったなぁ……

典韋は起き上がり、ため息をついた。
そしてぼんやりと辺りを見回す。
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