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□君の声
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今日は日曜日。

珍しく雅治の部活はおやすみ。

夏前の、この時期。

私は君に出会ったね。

告白をされていた君。

たまたま通りかかってしまって気まずかったっけ。

『好き、です』

『……気持ちはありがたいんじゃが、すまんの』

『ほっ、他に好きな人がいるんですか?』

『…あぁ』

『そ、うですか』

それだけ言うと告白した女の子は走って逃げていった。

そのあとに呟いた君のセリフに心奪われた。

『ありがとうな…』

始めは、なんて心の清い人なんだろうと思った。

人の告白が断られたのを聞いて、好きになってしまった自分を恥じた。

でもね、本当になんて素敵な人なんだろうって思った。

ありがとう、と聞こえないセリフを背中に投げかけてもらえるなら振られてもいいとすら思った。
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