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□君の声
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何日かたって、仁王雅治だと知った。

『苗字さん』

不意に帰り道、好きな声が聞こえたんだ。

驚いて振り返ると仁王雅治くん。

『さっき、物理の先生が呼んじょったよ』

『あ、うん。ありがとう』

ポーカーフェイスをしたけれど、私の内側では心臓が飛び出そうになっていた。

あの、好きな声の正体は君だったんだね、と。

それからは、迷った。

君はすごく人気者だったから。

女の子はみんな君を見て頬を染める。

そんな、素敵な君。

勇気が、溶けてなくなってしまった。
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