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□君の声
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何日も、迷った。
そんなある日、クラスの男の子に呼び出された。
『苗字さん、好きなんだ。付き合って欲しい』
告白なんて初めてされた。
自分ですら、したことがなかったのに。
『…ごめんなさい。私ね、好きな人がいるの』
『…その恋は叶うの?叶わないなら俺の所においでよ』
その男の子も素敵だと思った。
でも、仁王くんの声を聞いたときのような衝撃がなかった。
『叶わなくても、いいの。だから、ごめんなさい。でも、ありがとう』
そう告げると泣きそうな顔をして、笑って彼は言った。
叶うといいね、と。
彼が去っていってからなぜか泣いてしまった。
今はお昼休みも終わりかけの屋上。
きっと誰も来ない。
なんて、強い人なんだろうと思った。
好きな人を応援できるなんて。
私には、できるだろうか?
好きな人がいる君の応援をできるだろうか?
話したことも片手で数えるくらい。
私の存在を知っていたことだけでも嬉しかった。
『なに泣いとるんじゃ』
誰もいないはずの屋上に。
君はいたんだね。
『告白されて、断ったのに、なにが悲しい?』
『強さが、ほしい』
目の前まで君は来て、座り込んでいる私の目の前に座った。
『おまんは強い、さっきの言葉は強かった』
そう言って頭をなでてくれた。