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□君の声
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『苗字が好きじゃ、たまらんほど好いとお』
耳元で初めて聞いた君の声は震えていたね。
でも、すごく胸が締め付けられた。
『あは、先越されちゃった』
『先?』
『私も仁王くんが好きだよ』
夢みたいな日だった。
本当に君が傍にいることが罪に感じるくらいに。
でもそんなのは一瞬でそれからは幸せにみちてる。
「これ名前。俺とおるっちゅーんに、なぁーに考えちょる」
さっきまで向かいで歌っていたのに、今は隣にいた。
「雅治の事だよ」
「ん、なら許しちゃるぜよ」
よしよしと、頭を撫でると擦り寄ってくる君。
カラオケなんて来たことがないと、言っていた。
甘えるなんてしたことがないと、言っていた。
私にしか見せてくれないところが、君にはまだまだたくさんあるんだね。
「名前、俺はいつまでもおまんを好いちょるよ」
「うん、私も雅治が大好きだよ」
end
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