STORY


□甘党のキミ
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「ツッキー、今日ちょっと遠回りして帰んない?」


「ああ、別にいいけど」


今日は珍しく部活が休み。
だからいつも一緒に帰ってるツッキーに、遠回りして帰ろうって提案してみた。そしたらあっさりと承諾してくれたので、るんるん気分で帰り支度をする。


「早くしないと置いてくよ。」


「待ってよツッキー!」





遠回りして帰ろうって時のルートは大体決まっている。駅の方を回って帰るのだ。
そこらへんは比較的店の入れ替わりがあるので、たまに通ってみると新しい店が出来ていたりする。
今回通った時も例に漏れず、新しい喫茶店が出来ていた。


「わあ、こんなとこが出来てたんだね」


「そうみたいだね…」


一旦歩幅を緩めてゆっくりと店構えを眺めてから再び道を歩き出す。
すると、隣にツッキーの影が見えないことに気が付いた。
辺りを見渡しながら振り返ってみると、先程の店を見つめている。


「んー?」


彼の見つめている先に視線を向けると、写っているのはいちごが乗ったチョコワッフル。
あー、なるほどなあ。


「ツッキー、それ食べたいの?」


「わっ……ん、」


疑問を口にすると、俺に気付いてなかったのか、あからさまにびっくりされてしまった。
でも、よっぽど食べたいんだろうなあ、ツッキーは素直に頷いた。
そんな彼を見て、俺は何だか嬉しくなっちゃって。


「じゃあ、今日はここ寄ってみよっかー」


そんな予定はなかったくせに、行こうなんて言ってみる。
すると、わかってますよとばかりにツッキーは先に行ってしまった。

部活は好きだけど、こんなキミが見れる休みの日も大好きだ。




 

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