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□第3夜
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『……っ、おにい、ちゃん……っ!お兄ちゃん………っ!!!』


伏見の顔を認識した途端、今まで怖がっていた相手とは思えない位素早く抱きつく。
そして、店内にいた誰もが驚く言葉を口にしながら。

その衝撃から一番最初に立ち直ったのは、やはり草薙だった。


「あー、えーっと……?
ゆかりちゃんと伏見はどないな関係なんや?」


きっと、伏見とゆかりを除く全員が思っていた事が草薙によって代弁される。


「聞こえてないんですか?
俺はゆかりの兄ですけど」


抱きつかれた拍子に座り込んだ姿勢のまま伏見は草薙を見上げ、なんで分かんねぇんだよ、とでも言いたげな表情で答えを出す。


「えぇーと、それは、血の繋がった兄妹っちゅーことでええんか?」

「それしかないでしょう」


草薙の重ねての質問に即答する、伏見。

静寂が店内を浸食する。

その静寂が破られるのは、すぐの事だった。
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