deep sleep

□めっちゃ好き
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『侑士〜!』


おっ来た来た
俺の愛しの姫さんや


「名無しさん、おはようさん」


俺が名無しさんに笑い掛けながらそう挨拶すると名無しさんは勢い良く俺に抱き付いてきて俺は少しよろけてしもた。


『おはよう侑士!』


「おわっ!名無しさん、朝から熱い抱擁ありがとさん」


『えへへ、どう致しまして』


「くっ…朝から可愛ええ顔見せんなや。食べたくなってまうやろ?」


『食べっ…も…もう!朝から変態発言しないの!』


「けど嫌いやないやろ?むしろ好きな癖によう言うわ」


俺がにやっと口端を上げると名無しさんは馬鹿と呟きながら顔を俯けたので更に顔をにやけさせてもうた。


自分な
それが俺心をくすぐるて
ええ加減分かれや


そんな事を思いながら名無しさんの頭に手を乗せサラサラと綺麗に流れる髪を弄りながらふっと口元を緩めた。


「名無しさんシャンプー変えたん?」


『え?分かるの?』


「愛しの姫さんの変化に気付くんは当たり前の事やろ」


『す…凄いね侑士。流石変態だけあるかも』


「変態は余計やろ」


「おおい!そこのバカップル!朝からいちゃついてんじゃねぇよ」


俺と名無しさんが話しながら歩いていると後ろから俺のダブルスパートナーであり恋敵の岳人が名無しさんの隣に並んで歩き出したので俺は心の中でムッとしながらもそれを表に出さんようにポーカーフェイスを取り繕った。


まあ恋敵思てるのは
俺だけなんやけどな
岳人は無意識な分めっちゃ質悪いわ


「なあ名無しさん!昨日のあのテレビ見たか?!」


『うん見た見た!すっごい面白かったよね』


岳人とおる時の名無しさんは嫌いや
だって俺にも見せた事ない顔見せるからなんやねんそれって思てまうから


「クックッ…なんて顔してんだバカ足」


「跡部…」


校門を抜けるといつの間にか俺ん横におった跡部にズバリとそれを指摘され俺は慌てて笑顔を作ってみせた。


「なんの事や?」


「とぼけんなよ。妬いてますって顔してやがんぞ」


「俺別に妬いてへんし」 


「そうかよ。まあ精々名無しを向日や俺様に取られないように頑張るんだな」


「ちょお待て。何でちゃっかりお前まで増えとるんや」


おいおい
ほんまに勘弁してくれへん?
これ以上ライバル増えたら俺まじで名無しさんに何してまうか分からんくなるやん


俺は不安な表情はなんとか出さずにいれたものの小さく溜め息を吐き岳人と楽しそうに話す名無しさんを見つめた。




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