彼女の愛で方

□Lesson12
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『そんな…』


「…名無し。諦めろ」


部室で名無しにとって聞きたくなかった言葉を手塚から聞かされた名無しは顔を真っ青にしてしまった。


「国光先輩の言う事も分かります。分かりますけどわ…私にはとても…」
 

「クスッ…大丈夫だよ名無し。僕が付いてるしなんの心配もないよ」


「そうだぜ名無し。俺らも付いてるしお前はどんと構えてりゃいいんだよ!」 


『周ちゃん…桃君』  


「ていうかさ、たかだか合宿位でなんでお通夜みたいな空気になってるわけ?」


『ぜっ…全然たかだかじゃないよリョーマ!』


泣きそうになりながらそう訴える名無しに越前は呆れながらも先程配られたプリントに視線を落とした。


「それにしても随分豪華なメンバー揃ってますね。氷帝に立海、それから山吹っすか」


「ああ。立海は俺も驚いたが氷帝と山吹に関しては何故か向こうから是非にと頼まれたみたいでな」


「ふうん。まあどうせ氷帝と山吹に関してはテニスが目的じゃないんでしょうけどね」


「おチビの言う通りだにゃあ!」


越前の言葉に部員達は頷いたあと一斉に名無しに視線を向けた。


「ねえ名無し」


『な…なに?』


「今から僕らとのお約束条項作ろうか」


『お約束条項って…なんで?』


「クスッ…なんでってそれは…ねえ?皆」


「フシュゥゥ…そうっすね」


「うん。それは俺も必要だと思うな」


「はは、こりゃ大変。で、部長の意見は?」


大石が腕を組みながら難しい表情をする手塚に視線を向けると手塚も思う所があるのか頷いた。


「では今日のミーティングはそれでいこう。いかにして他校の部員達を近付けないかも話合わなければな」


「ふふ、話が分かるじゃない手塚」


『あ…あのぉ』


「どうした名無し」


『いえ。お約束条項って…それにいかにして近付けないかっていうのは何の事なんでしょうか』


「うっわ〜…それ本気で言ってるわけ?鈍ちんにも程があるんじゃないのお前」


「仕方ないだろう越前。それだからこその名無しだ」


乾が当然といわんばかりに越前を見据えたので越前含め部員達は盛大に溜め息を吐き出しやれやれと首を横に振るった。


「さて。どちらから話合うべきか」


「はいは〜い!お約束条項からの方がいいと思うにゃっ」


「その心は?」


「早く決めた方が名無しが覚えるのも早くていいかにゃあと思って!」


「うん、英二の言う通りだね。僕もその方がいいと思うよ」


「決まりだな」


部員達がああでもないこうでもないと真剣に話し合う中いまいちピンと来ない名無しは首を傾げながらその様子を眺めていた。




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