彼女の愛で方

□Lesson13
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『えと…全校分のタオルとドリンク準備して…ってああ…かなりの量があるし。終わるかな』


テニスの打ち合う音が響き渡る中準備しなければいけないタオルとドリンクボトルを目の前にしながら名無しは愕然としていた。


『どど…どうしよう』


「名無しさんさん!」


『えっ?!あ…檀君?』


「ダダダーン!伴田先生から名無しさんさんの事を手伝うように言われたんで僕も手伝います!」


そう笑顔で元気良く答える檀に名無しは天使でも見たといわんばかりの表情を浮かべ人見知りな事も忘れ檀を抱き締めた。


「わわっ!名無しさんさん?!」


『檀君ありがとう!本当にありがとう!私1人でどうしようかと思ってたのっ』


「あ…ああ…あのっ」


「…何をしてるんだお前達は」


『い…乾先輩。こっ、これはその…』


突然の乾の登場に名無しは慌てたように檀を離し頬を赤く染めながら顔を俯けてしまった。


「お前は確か檀だったか?こんな所で何してるんだ」


「は…はい!あの、伴田先生から名無しさんさんの手伝いをするように言われてきたんですです!」


「ああ、成る程な。しかし名無しは人見知りなのに檀だと平気なのか?」


『ど…どうしてですか?』


「いや…どうしてっていつものように赤面してないし隠れてないからな」


『あ…そういえばそうですね。どうしてだろう?』


「ふむ、中々興味深いな」


何かを考えるように顎に手を添え考える素振りを見せる乾を名無しは首を傾げながら見上げた。


『そ…そういえば何で乾先輩がここに?』


「ああ。全校分の量を用意するのは大変だろうし手伝ってやろうかと思ったんだが檀がいるなら大丈夫そうだな。これを使うといい」


『ウォータータンク…わあっ、これなら沢山作らなくてもいいですね』


「ああ。それから全部完璧にやろうと思わなくていいから自分のペースでやるといい。まあお前の場合自分のペースでやると練習が終わってしまうだろうがな」


『ひ…酷いです乾先輩』


「冗談だ。頼りにしてるぞマネージャー」


珍しく口元に笑みを浮かべ名無しの頭を撫でその場をあとにしていく乾を名無しは撫でられた頭を少しだけ擦りながら微笑んだ。


『ありがとうございます先輩』


「…名無しさんさんって凄く皆さんに大事にされてるんですね」


『ええ?!そ…そんな事ないと思うけど』


「見てれば分かりますよ!そういうのいいと思います。僕なんて先輩達に叱られてばかりなので羨ましいですです」


『檀君…ううん、私も迷惑掛けてばかりだよ。青学の皆は優しいから怒らずにフォローしてくれるけど私も早く一人前になりたいと思うし檀君の気持ち良く分かるよ』


「名無しさんさん…」


『だから、ね?2人で先輩が驚いちゃう位頑張ろうよ。それから私もっと檀君と仲良くなりたいと思うし名無しさんさんじゃなくて良かったら名無しって呼んでね』


花が綻ぶような笑みを浮かべる名無しを檀は頬を赤く染めながら暫くその顔を見つめていたがはっとしたように自分も笑顔を浮かべた。


「はっ、はいです!頑張りましょうね名無しさんさ…じゃなくて名無しさん!」



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