彼女の愛で方

□Lesson17
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「おっ、あったあった。ここが風呂みたいだぜい」


『あ…あの丸井さ…』


「だ〜か〜ら、ブン太だって言ってんだろい?!」


風呂場の前でずいっと丸井に詰め寄られてしまった名無しは困ったような表情を浮かべたあと顔を俯けた。


『だ…だって…』


「なんだよい」


『その…ブン太なんてそんなよ…呼び付けにするなんて何だか恥ずかしくて…』


「はあ?なぁにが恥ずかしいんだよい。恥ずかしい事何1つねえぜい。その証拠に俺はお前の事何度だって堂々と名前呼べるぜい」


『え』


「名無し名無し名無し名無し名無しっ!ほら、ぜんっぜん恥ずかしくも何ともねえからお前もブン太って呼んでみろよい」


『わっ…分かりましたから連呼しないで下さいっ。ぶっ…』


「ぶ?」


『ブン太…やっ…だ…駄目です!やっぱ君とか先輩とか付けないと恥ずかしいですっ』


顔を真っ赤に染め潤んだ瞳で自分を見上げてくる名無しに丸井は頬を赤く染めながら名無しの鼻先を摘まんだ。


『ひゃっ!にゃにひゅるんれふかっ』


「煩え…そんな顔したお前がわりぃんだよい」


溜め息を吐き出したあと丸井は名無しの鼻から手を離し親指で自販機があるソファを指した。


『なっ…なんでしょうか』


「帰りも一緒に戻ってやるよい。お前放っておいたら迷子になりそうだしよい」


『…いいんですか?』


「いいから言ってんだよい。とりあえずどっちが先に風呂から出てもあそこで待ってる事!約束だぜい?」


『は…はい。ありがとうございます』


名無しは丸井と別れたあと脱衣場に入り笑みを浮かべながらジャージを脱いでいった。


『丸井さ…あ、じゃなくってブン太って見掛けに寄らず優しいんだなぁ』


タオルを巻き機嫌が良さそうに名無しが浴槽のドアを開けると丁度隣のドアから出てきた先程別れた筈の丸井と鉢合わせてしまい名無しは目を見張ってしまった。


『ぶぶ…ブン太?!』


「は?え…名っ…名無し?!お前何でここに…はあ?!」


いくらタオルを巻いているとはいえその下は裸だと想像してしまった丸井は慌てて名無しから思い切り顔を背けた。


「いっ…いつまでもそこに突っ立ってねえでさっさと風呂に入れよい!」


『はっ…はい!!』


「あっ…ちが…つうかお前何素直に風呂に入ってんだよい!そこは普通出てくだろい?!」


『ごご…ごめんなさい〜』


何故浴槽が繋がっていたのかも疑問だったが自分に素直に従う名無しに丸井は呆れながらもこれはいいチャンスだと思いにっと口端を上げた。







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