番外編

□乾のデータ記録物語
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やあ、俺は乾貞治だ。
何故独り言を呟いているかだって?
そうだな…
言うなればこの合宿を利用して青学テニス部マネージャーである名無し名無しさんのデータをこっそりつけようと思ってこうして今名無しさんのあとをつけているからこそ呟く形になっているんだ。

ん?
それじゃあストーカーじゃないかって?
ふ…何を言う。
ストーカーとは相手が嫌がる行為をしつつあとをつけたり待ち伏せしたりする事であって俺は断じてストーカーなどではない。

それにしても名無しさんのデータを集めるのは中々骨が折れそうだ。
俺が知りうる限りのデータは、
青春学園(中途から)に通いそして趣味は花鑑賞、読書。
性格は内気で照れ屋。そしてとにかく不二が好き 。
容姿は目が大きくてとても可愛らしい奴で瞳の色は薄茶で髪色は今時珍しい黒でしかもさらさらヘアだ。
おっと、忘れる所だったが彼女の身長は152cmで 体重は43kg…
少し細過ぎる気もするがまあそこは置いておくとしよう。

「おい名無しさん」

『あ…跡部さん』

跡部だって?
これはラッキーだな。
ついでに跡部の新たなデータも取らせて貰うか。
俺は物陰から二人の様子を遠目越しにじっと眺めた。

「あーん?景吾だって言ってんだろ。いい加減にしねえと怒るぞこら」

『ごごっ…ごめんなさい…』

「そうビクビクすんなよ。お前のそういう態度見てっと意地悪したくなってきちまうだろ?」

『いっ…意地悪しないでく…下さい。お…お願いします』

名無しさんは馬鹿なのか。
あんなにビクビクしてそうやって謝ったら余計男を…いや、跡部を煽るだけじゃないか。
ほらみろ。
跡部が楽しくて仕方がないって顔してるぞ。

「クックッ…マジで意地悪したくなる女だなお前は。そんなに意地悪して欲しいんならしてやってもいいんだぜ」

そう言って跡部が名無しさんの肩に手を回そうとすると名無しさんは小さな身長を活かし軽々とその手を避けぷるぷると震えながら跡部を睨み付けていた。

『あっ…跡部さんはいつもいつもそうやって私を苛めて何が楽しいんですか?!そ…そういうの最低ですっ』

「さ…最低?!この俺様に向かって最低だと?」

『そ…そんな事ばかりされてたら私跡部さんの事嫌いになっちゃいますからっ』

「嫌いにって…マジかよ」

『失礼します!』

「おい名無しさん!」

余程名無しさんの言葉にショックを受けたのか跡部にしては珍しく名無しさんを追い掛ける事もせずただただ項垂れていた。
ふむ、これはいいデータが取れた。
名無しさんは意外と言う時は言う奴でそして怒らせるとこちらがダメージを受ける言葉を放つので要注意、と。
跡部は俺様上から目線でドSな奴だがその実打たれ弱くて傷付き易い奴だった、と。
これで完璧だな。
さて、早く名無しさんのあとを追わねばな。







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