番外編

□着させて悪戯したいんです
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「跡部頼む!お前に一生のお願いがあるんやっ」

「あーん?何だよ急に」

練習の休憩中忘れ物を取りに部屋に戻っていった筈の忍足が数分もせず再びコートに戻ってきたと思ったら突然跡部に向かって両手を合わせてきたので跡部含む他部員達も怪訝な表情を浮かべながら忍足を見据えた。

「そんな必死になってどうしたんだよ侑士」

「それに忘れ物はどうしたんですか忍足さん。見た所何も持っていないようですが」

「あほ!今は忘れ物なんかどうでもいいんやっ」

「おい忍足とにかく落ち着けって。ったく激ダサな奴だぜ」

「そんなに必死な顔して一体何があったのか話して貰えませんか?」

「あ、ああ。こらすまんかった…あんな俺さっき合宿所に戻ろうとしたんやけどな玄関のすぐ近くの壁ん所に名無しさんが立っとったんや」

「名無しさんが?」

「せや。そんで名無しさんがそないとこで何しとんのか俺めっちゃ気になって覗いてみたんや。そしたら…」

「お…おう」

「テニスの練習しとったんや。しかもどうやったらそないボールを空振れんのか突っ込みたい位へったくそで俺は危うくきゅん死にしそうになってもうたんや」

忍足があまりにも緊迫した表情を浮かべながら話していたので一体名無しさんはどんな事をしていたんだと固唾を飲み込みながらその話を聞いていた部員達はその下らないオチに一斉に眉間に皺を寄せ忍足を睨み付けた。

「忍足さん…貴重な休憩時間を貴方の下らなくてどうでもいい話に使わせないで下さいよ」

「クソクソ!日吉の言う通りだぜっ」

「あはは、全く本当に仕方のない人ですね忍足さんは。そのままきゅん死にしてくれても良かったのに」

「ちょ…鳳っ。お前めっちゃ爽やかな顔してそない怖い事さらりと言うなや」

「で?」

「何がや」

「何がじゃねぇ。それと冒頭の一生のお願いとやらがどういう関係があんだよ」

「関係大ありやっ。悪いんやけど名無しさん用に早急にスコート用意してくれへんか」

「用意してやるのは別に構わねえが今のまんまジャージでやらせといても何の問題もねえんじゃねえか?名無しさんは部員な訳じゃねえしよ」

「はぁ…何も分かってへんなぁ景ちゃんは」

「あーん?」

自分を睨み付ける跡部に向かって人指し指をチッチッという風に左右に動かしたあと忍足はにんまりと笑みを浮かべた。

「名無しさんが練習してる姿見て思たんやけど姫さん何度も空振ってボール落とすやん?そんでそれを何度も拾うの見て閃いたんや。これがスコートだったらええもん見れるんやないかってな」

「なっ…何言ってんだよお前!激ダサ所かそりゃ激変態過ぎだろっ」

「そ…そうだぜ侑士!いくらなんでもその考えはヤバ過ぎだぞっ」

「そうですよ!大体そんな事で跡部さんが協力する訳ないじゃないですかっ。ね、跡部さん!?」

「いや…忍足の割に中々いい案出してくれんじゃねえの」

「あ…跡部さん?」

信じられないといわんばかりに部員達が跡部に視線を向けるとらしくもなく頬を赤く染め顔をにやつかせていたので部員達はこいつもかと思いながら跡部を軽蔑の眼差しで見据えていた。

「おい忍足。今回だけは特別にこの俺様が協力してやるから有り難く思えよ。精々名無しさんのスコート姿に酔わされねえように覚悟しておくんだな」





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