番外編

□俺様流レシピ
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「プッ…!と…東吾、今のこれビデオに収めたくない?」


「ククッ…そうだな景子っ…あの景吾がこんなに素直に謝るなんて…にしても景吾。お前いい具合に名無しさんさんに躾られてるじゃないか」


「煩いですよ二人共。大体俺は名無しさんに躾されてるんじゃなくて俺が名無しさんを躾てやってる立場ですよ」


『ちょっ…景吾!何て事言ってるのよ!!』


得意気な顔でそう告げる跡部に名無しさんは顔を赤く染めながら慌てて跡部の口を両手で塞いだ。


「こら名無しさん…何しやがる。この手離さねぇか」


『やだっ』
  

「あーん?俺様にやだなんて言葉使っていいと思ってんのか。ご主人様の言う事が聞けねぇような雌猫には仕置きが必要なようだな」


『雌猫って何よ!失礼なんじゃない?』

 
「はいはい。いちゃつくのもそこまでにしなさい二人共」


『ご…ごめんなさい』


「フンッ…」


景子は対照的な態度をとる二人に苦笑しながら跡部を見つめた。


「景吾。ならどういう料理がいいの?料理人に言ってそれを作って貰えばいいだけの話しじゃないかしら」


「俺は料理人が作った物が食べたい訳じゃありません」


「一体それはどういう事かしら」


「俺は名無しさんの作った料理が食べたいんです」


『わ…私の?』


驚きながら名無しさんは跡部を見つめ景子と東吾は目を丸くしながら名無しさんを見つめた。


「名無しさんちゃん料理出来るの?!」


『え?あ、はい…家に居る時はいつも自分で作ってましたから』


「その歳で料理が出来るなんて名無しさんさんは凄いな」


『そっ…そんな事ないですよ』


「父さん、母さん。こいつの料理の腕は一級品ですよ」


「あら。景吾は名無しさんちゃんの料理食べた事あるの?」


「はい。とても絶品でした」


「ほ〜う…あの味に煩い景吾にそんな事を言わせる名無しさんさんの料理か。私も是非食べてみたいな」


「私も食べてみたいわ!ね、名無しさんちゃんさえ良かったら明日のディナー作ってくれないかしら」


『あ…あの!でもここの料理人さんと比べたら私の料理なんて平凡過ぎて駄目ですよっ…とてもお二方のお口に入れさせる訳には…』

 
両手をぶんぶんと振りながらそう告げる名無しさんに跡部はふっと微笑みながら名無しさんの頭に手をぽんっと置いた。


「自信持てよ名無しさん。この俺様が旨かったと言ってんだから旨かったんだよ。それに父さんと母さんだって食べてみてぇって言ってんだから作ってやれよ」


『でも…』


「お前が作らねぇと言うなら俺様はこれから出される食事は二度と口にしねぇぞ」


『な…何それ。そんなの駄目に決まってるじゃない』


「駄目だと思うなら作れ。いいな」


『…それは命令なの?』


「ハッ…よく分かってんじゃねぇか」


『…これだから俺様ボクロは嫌なんだよね。面倒くさっ』


「何か言ったか」


『別に何も。作るのはいいけどあんまり期待しないでよ?』


「ああ。期待して待ってる」


『あのさ…私の話ちゃんと聞いてるの?』


二人のこのやり取りと名無しさんの手料理が食べられるという嬉しさで東吾と景子はにこにこと微笑んでいた。




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