番外編

□俺様流レシピ
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ーーside ATOBE

「…暇だな」


名無しさんがディナーを作るという事で俺は学校から帰った後名無しさんと別れ自室で本を読みながら暇を潰していたがどうにもいつも横に座っているあいつの存在がないだけで落ち着かないでいた。


「まあ俺様が言い出した事だから仕方ねぇと言えば仕方ねぇが…」


にしても俺様自身も驚いたぜ
あんなガキ臭ぇ我が儘言っちまうなんてよ


そういえば両親もえらく驚いてたな
当然か…
俺様が我が儘言った事なんか今までだって一度もなかったし家の者以外に料理作らせてんだもんな


「家の者が作った物以外は信用ならねぇから絶対ぇそんなもの口にしねぇと豪語してたのによ」


一度…
本当に過去に一度だけ庶民の味に興味を持ち雌猫に弁当を作らせてみたがそれがまた酷かった

見た目はぐちゃぐちゃで見れたもんじゃねぇし味も最悪で極めつけは髪の毛が入ってやがった

それだけでも吐き気もんなのにそいつがまた甘ったるい匂いを漂わせながらすり寄ってきやがるもんだから俺は無言で弁当を雌猫に押し返しトイレに吐きにいった


それ以来他人が作った物は受け付けなった筈だったんだが…


「名無しさん…お前のは不思議とすんなり食えちまうんだよな」


あれだけ嫌だったのに名無しさんから貰ったクッキーや名無しさんの家に初めて行った時食事を出されて吐き気所か胸が一杯になるような感覚になりながら食ってたんだから自分でも不思議で仕様がねぇぜ


「ククッ…これは愛の力ってやつかはたまた名無しさんはもう俺様の中で他人なんかじゃねぇからって事なのか」


まあきっと両者だな


「それにしても暇過ぎるな。少し名無しさんの事構いにでも行ってくるか」


俺はそう呟きながらふんっと笑い今頃俺の為に一生懸命料理を作っているであろう名無しさんの事を想いながら部屋を後にした。




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