番外編

□俺達だって守ってます
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「どれよく見せてみんしゃい」


『…うん』


「大した事なさそうじゃな。これなら舐めておけば治るぜよ」


『んっ…ちょっとにお!?』


名無しさんをベンチに座らせ傷を見ていた仁王がそう言いながら傷口をぺろりと舐め上げたので名無しさんは頬を真っ赤に染め仁王を睨み付けた。


「クックッ…可愛い反応してくれるナリ。なんなら早く治るように俺がたっぷりとここだけじゃなくて色んな所も舐め回してやろうか?」


『なっ…』


「馬鹿ですかあなたは。私がそれを許す訳ないでしょう」


眼鏡をクイッと上げながら仁王をどかした柳生は地面に片膝を付け消毒液がかけられたガーゼを名無しさんの膝に付けると名無しさんはビクッと体を強ばらせた。


『いっ…た…痛いよっ比呂…』


「がっ…我慢して下さい」


『ひゃっ!や…そんなの無理ぃっ…』


「名…名無しさんさんそのような声を出されては困ります」


『比…呂…優しくしてくれなきゃやだよぉ』


名無しさんが潤んだ目でそう甘い声を出しながら柳生を見つめると何かが切れてしまった柳生はふっと口元に笑みを浮かべ名無しさんの頬に手を添え顔を近付けた。


『比呂?』


「名無しさんさん、あなたは本当にいけない女の子ですね。このように私を誘惑するなんて」


『あの』


「あなたがいけないんですよ?そんな可愛らしく甘い声を出したんですから」


「何やってんだよい柳生」


名無しさんの唇にキスを落とそうとしていると後ろから思い切り丸井に頭をパシリと叩かれ柳生はジロリと丸井を睨み付けた。


「何するんですか丸井君。頭を叩くだなんてあなたみたいに煩悩の塊になってしまったらどう責任をとるおつもりですか」


「安心しろよい柳生。お前はもう既に煩悩の塊だぜい」


若干ショックを受けている柳生を押しのけ丸井はガーゼを手に取ると名無しさんを安心させるようににっと微笑んだ。


「ちょっと沁みるけどすぐ終わるから我慢してろよい?名無しさん」


『う…うん』


名無しさんが痛みに耐えようと目を瞑っていると優しく頭を撫でられたので目を開けると変わらない笑みを浮かべた丸井の顔が目の前にあり名無しさんは目を丸くしてしまった。


『あ、あれ?もう終わったの?』


「ああ!よく我慢したな名無しさん」


『でも全然痛くなかった…』


「弟達がよく怪我して俺それの手当てしてやってるからこういうのは慣れっこなんだよい」


『凄いねブンちゃん!』


「へへ、天才的だったろい?」


『うん!』


いい所を持っていかれてしまった仁王と柳生は丸井を恨めしそうな顔で睨み付けた後名無しさんの元に近寄り笑みを浮かべた。


「終わったんじゃったらそろそろ着替えて帰るナリ名無しさん」


『あれ?もうそんな時間?』


「ええ。今日は私達が送っていくので帰りにケーキでも食べて帰りましょうか」


『うん!あっ、でも…』


「どうしたんだよい名無しさん」


『私ちょっとこの後用事があるから少し待ってて貰えないかな』


「用事?用事ってなんの用事じゃ」


『それは…その…』


名無しさんが急に照れながら口ごもってしまったので何の用事か察した三人はにこりと名無しさんに微笑み掛けた。





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