彼女の愛で方

□Lesson1
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『私は名無しさん名無しといいます。ちなみに2年生です』


「そうだったのか。俺はてっきり1年生かと...あ、いや何でもない」


『ふふ、そういうのは言われ慣れてるので大丈夫ですよ』


「慣れては駄目な所だろそこは」


変な奴だと笑いながら少年は名無しの頭を撫でた。


『あの...』


「なんだ?」


『あなたのお名前を聞いてもいいですか...?あっ、嫌だったら別に教えてくれなくても...』


「誰も嫌だなんて言ってないだろう。俺は手塚国光だ。ちなみに3年生だ」


『さっ...3年生?!』


目を輝かせながら名無しが手塚
を見上げてきたので手塚は思わず首を傾げてしまった。


「なんだか嬉しそうだな」


『ああっ...あの!手塚先輩はふっ...不二周助って知ってますか?!』


「不二?不二なら知ってるぞ。同じ部活だしな」


『そうなんですか?!あのっ...周ちゃ...じゃなくて不二先輩は何の部活をしてるんですか?』


「テニス部だが...名無しさんは不二の知り合いなのか?」


『はい!そっかぁ...周ちゃんテニス部なんだ...』


嬉しそうに口元を綻ばす名無しを手塚は複雑そうな表情で見下ろしていた。


「名無しさんと不二はどういう関係なんだ?」


『私と不二先輩はいとこなんです』


「いとこ?それは初耳だな」


『あの...不二先輩は何組なんですか?』


「6組だが」


『6組...』


「名無しさん」


『はっ、はい』


「職員室に着いたぞ」


いつの間にか職員室へ辿り着いており名無しは再び手塚に頭を下げた。


『本当にありがとうございました手塚先輩。お陰で無事に辿り着けました』


「礼には及ばない」


『いえ、及びますよ。それじゃあ私行きますね』


「ちょっと待ってくれ」


『ひゃっ!』


職員室に入ろうとした名無しの手を手塚は咄嗟に掴み引き止めた。


『ててっ...手塚先輩?!』


「また...」


『え?』


「またお前に...名無しさんに会いたい」


『そそ...それは別に構いませんけどとりあえずあのっ...手を...』


「すっ...すまない。引き止めて悪かったとは思うがまた名無しさんの事色々聞かせて欲しいと思ったらついな...」


『つ...ついでも突然掴まれると心臓に悪いので本当に止めて下さいっ。慣れてないんですそういうの』


顔を赤く染めながら顔を逸らしもう一度軽くお辞儀をした後名無しは今度こそ職員室へ入っていってしまい残された手塚は顔を赤く染めその場に立ちすくしていた。


「名無しさんのあの顔は本当に癖になる...しかし何度も動揺してしまうとは俺とした事が油断していた」





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