彼女の愛で方

□Lesson1
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「それじゃあ始めようか」


『うん!』


「おかえり名無し。それからまたこうして僕と名無しがずっと一緒に居られるようになった事に乾杯



『かんぱ〜い!』


グラスを合わせた二人は同時にグラスに口を付けた。


「ねえ名無し。これ昨日姉さんが作ったクッキーなんだけどよかったら食べて」


『ありがとう。いただきます!...ん〜っ、美味しいっ』


「それは良かった」


『由美ちゃんは相変わらずお菓子作りが上手なんだね』


「ふふ、それ聞いたらきっと姉さん喜ぶよ」


美味しそうにクッキーを頬張る名無しを目を細めながら見つめているとその視線に気付いた名無しが恥ずかしいのか頬を赤く染めてしまった。


「なに照れてるの?」


『だっ...だって...周ちゃんが...』


「僕がなに?きちんと言ってごらん」


『あうっ....それは...も、もう!周ちゃんの意地悪っ』


「クスッ...ごめんね名無し。だって名無しが可愛いからつい苛めたくなっちゃって」


『しゅ...周ちゃんあのっ...』


「ん?」


『ゆっ...裕ちゃんは何で寮に入っちゃったの?それに私お母さんから裕ちゃんは周ちゃんと同じ青学に入ったって聞いてたんだけど...』


不二はその質問に困ったような笑みを浮かべながら言葉を紡いだ。


「裕太はね、どうやら僕が嫌いみたいなんだ。僕と比べられるのが嫌だったみたい」


『そ...そんな事...』


「人間同士っていうのは成長していくにつれて色々と問題も出て来ちゃうんだよ。それは姉弟でも同じ」


『でもね周ちゃん、周ちゃんは知らないかもしれないけど裕ちゃんは周ちゃんの事大好きなんだよ?』


「え?」


『だって小さい時言ってたもん。兄貴がいるから俺は頑張れるし目標にしてるんだって。だから今は分かり合えてなくても必ずまた仲良く出来る日が来るから待っててあげよう?』


「名無し...ふふ、君は本当に僕を元気付けるの得意だね。参ったな」


『参った?』


「うん。子供だ子供だと思ってた名無しがこんなに大人になって戻ってくるとは思ってなかったから本当に驚いた」


そう嬉しそうに笑う不二に名無しも満面な笑みを浮かべた。


『ふふ、周ちゃんに褒められちゃった』


「あ、そうだ。僕も名無しに聞きたい事があったんだけど聞いてもいいかな」


『うん、いいよ』


「そう、それなら遠慮なく聞かせて貰うけどどうしてまめに電話くれなかったの?僕凄く待ってたのに」


『そっ...それはその...私まだ携帯とか持たせて貰えてなかったし連絡するにも電話の内容とかお父さんやお母さんに聞かれちゃうのも恥ずかしかったし...』




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