彼女の愛で方

□Lesson1
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「へえ...まあそれは仕方ないとしても手紙はどうしてくれなかったの?」


『えと...手紙はきちんと書いてたんだよ?!で、でも明日出そう明後日出そうって思ってる間に段々忘れてきちゃって』


「じゃあ親戚の集まりの時は何で名無しの家は来なかったの?」


『私もお父さんとお母さんもとっても行きたかったんだけどお父さんがお仕事忙しくて行けなかったの...』


「はぁ..名無しは僕が大好きだって言ってたのに僕への大好きって気持ちはその程度だったって訳か」


『そっ...そんな事ないよ!...あ...あのね、私青春台に戻ってくる時に携帯買って貰ったの!だからこれから毎日電話とかメール出来るよ?!』


これから毎日学校で会うでしょという突っ込みをしたい気持ちを堪えながら 不二は笑みを浮かべてみせた。


「それなら早速教えて貰おうかな」


『うん、いいよ』


「携帯貸してごらん。僕が登録してあげるよ」


『慣れてないから助かる!ありがとう周ちゃん』


「いえいえ」


携帯を受け取った不二は慣れた手付きで自分の番号とアドレスを登録し名無しに携帯を返すとそれを名無しは嬉しそうに受け取った。


「クスッ...随分とご機嫌だね」


『うん!だってこの携帯に登録した男の子って周ちゃんが初めてなの。だから嬉しくてつい』


「名無し...」


携帯を両手で握り締めながらそう可愛いらしく微笑む名無しに不二は鼓動を高鳴らせ顔を熱くさせてしまった。


『あ、そういえば周ちゃんってテニス部に入ってたんだね』


「うん。実は名無しが引っ越してからテニス始めて...って名無し」


『ん?』


「何で僕がテニス部だって事知ってるの?僕は勿論の事大石も英二もそんな話してないよね」


『ああ、それは廊下で親切にしてくれた人が教えてくれたの』


「親切にしてくれた人?」


『そう。凄く優しくて格好良い人なの。名前は手塚国光先輩って言ってたよ』


「手塚...?」


優しくての部分に違和感を感じながらも不二は冷静を装い名無しの話に耳を傾けていた。


『うん。あのね、友達になって欲しいって言われたから今日友達になったの』


「ちょっと待って名無し。名無し語じゃなくて手塚の言葉のままその言葉言って貰えないかな」


『え?うん。なんかね、また会いたいし私の話もっと聞きたいって言ってたよ』


「手塚...僕の名無しに手を出そうなんて本当にいい度胸してるよね。これは後でよく言い聞かせをしてあげないと駄目かな」


『どうしたの?周ちゃん』


「ふふ、何でもないよ。名無しは知らなくていい事だしね。あ」


『え?』


お菓子をぽりぽりぽりと食べている名無しの口元が汚れていたので不二はクスリと笑いながら名無しの口元に手を伸ばした。




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