彼女の愛で方

□Lesson11
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「あ〜!負けちゃったにゃ〜っ」


「ふふ、でも英二も中々頑張ったと思うよ」


順調に順番は回り不二VS菊丸対決で勝利の旗を手にした不二は菊丸にそう言いながら微笑んだ。


「悔しいにゃ〜!」


『で…でも英二先輩凄くか…格好良かったですよ?』


「えっ?!それ本当?名無しっ」


『は…はい』


「ありがとにゃ〜名無し」


『きゃっ!』


菊丸に抱き付かれてしまった名無しは顔を真っ赤に染めてしまいそのまま固まってしまった。


「ねえ英二。僕の前で名無しに抱き付くなんて中々…ううん、凄くやるじゃない」


「ごっ…ごめんにゃ」


「名無し」


『な…なに?』


「僕は?」


『え』


「僕は格好良くなかった?」


『もっ…勿論凄く格好良かったよ周ちゃん!』


「ふふ、ありがとう名無し」


不二は満足そうに名無しに微笑んでみせながら名無しの頭を撫でた。


「邪魔して悪いんすけど」


「なに?」


「次っていうかラストは名無しと俺なんで名無しの事借りていいっすか」


『もっ…もう私なの?!』


「頑張って名無し」


『う、うん』


越前と名無しはスタート地点に立ち先にある旗を眺めた後お互い同時に顔を見合わせにっと笑い合った。


「負けないよ名無し」


『わわ…私だって負けないからねリョーマ』


「それじゃあ始めるぞ〜!よ〜いスタート!」


名無しと越前は同時に走り出し旗まであと少しという所で名無しは足を砂浜にとられてしまい先にスライディングして旗に手を伸ばしていた越前の上に倒れ込んでしまった。


『きゃあ!』


「わっ…ちょっ…ちょっと名無し何してるんだよっ」


『ごっ…ごめんなさいリョーマ』


背中に胸を押し付けられながら名無しの顔が至近距離にある事に越前は顔を真っ赤に染めてしまった。


「は…早くどいてよ!ていうか胸当たってるからっ」


『ごごっ…ごめ…あっ!や…やだリョーマ…へ…変なとこ触っちゃやだ』


「そ…そんな変な声出さないでよ馬鹿名無し!」


一連のやり取りを見ていた両校部員達は羨ましそうに、そして悔しそうな視線で二人を見据えていた。


「くっ…越前の奴なんつうおいしいシチュエーションなんだよっ」


「クスッ…本当に名無しは敏感だなぁ」


「のっ…呑気に笑ってる場合じゃないだろう不二!」


「成る程、名無しは敏感…と。いいデータが取れた」


わいわいと賑やかに騒ぎながらビーチフラッグ対決は不二率いるグーチームが勝利を手にし無事に終了した。






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