彼女の愛で方
□Lesson11
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「名無しせんぱ〜い!」
『な…何かな朋香ちゃん』
「あっちで今からビーチバレーするそうなんですけど名無し先輩も行きませんか?」
『え…えっと…わ…私はここで休憩してるから行ってきて大丈夫だよ』
「そうですか?なら暇になったら来て下さいね」
小坂は名無しにお辞儀をした後桜乃の手を取り駆け出していってしまった。
『ふふ、朋香ちゃんか。元気が良くて可愛い子だなぁ。それに桜乃ちゃんも素直で可愛いし…』
「そう?俺は名無しの方がよっぽど素直で可愛いと思うけど」
『ひゃっ…りょ…リョーマ!?』
「プッ…なにその顔」
『だだ…だって驚いたから』
「いい加減慣れなよね全く」
『ご…ごめんね』
申し訳なさそうな顔をする名無しに越前は再び吹き出してしまいながらも名無しの横に腰を下ろした。
「暇じゃないの?こんな所に1人で居て」
『う…うん。こうして見てるだけでも楽しいしほら…私鈍臭いから皆に迷惑掛けちゃうし』
「鈍臭いのは今に始まった訳じゃないんだから皆気にしないでしょ」
『…リョーマって本当に時々意地悪だよね』
「俺が意地悪するのは俺のお気に入りだけの特権なんだから有り難く受け取りなよね」
『ほっ…欲しくないよそんなの』
むきになって怒る名無しに越前は悪戯な笑みを浮かべてみせた。
『そ…それより』
「なに?」
『リョーマは皆とビーチバレーしなくていいの?』
「ああ…うん。名無しを1人で置いとけないでしょ」
『なんで?』
「なんでって…」
首を傾げる名無しを通りすがる男性達が次々と厭らしい視線で見つめていく事に気付いていた越前はそれに気付いていない名無しに向かって大きく溜め息を吐き出した。
「本当馬鹿なんだね名無しは」
『…ごめんなさい』
「ねえ、こんなとこに居ても暇でしょ?仕方ないから俺がかまってあげるし何でもやりたい事言っていいよ」
『えっ…ううん…あっ。貝殻拾いしたいかも』
「俺に貝殻拾えって言うの?」
『あの…嫌ならその…大丈夫だから』
名無しが両手を振りながら越前にそう言うと越前はまだまだだねと呟きながら立ち上がり名無しに向かって手を差し出した。
「ほら、手出しなよ。かまってあげるって言ったのは俺だし仕方ないから付き合ってあげるよ」
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