彼女の愛で方
□Lesson11
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――side ECHIZEN
「ここなら人気もないしゆっくり貝殻拾えるでしょ」
『わあっ…沢山貝殻が落ちてる』
嬉しそうに貝殻を拾っては眺める名無しに俺は口元を緩ませながらそれを見つめていた。
名無しってさ
本当に可愛いよね
年上の癖に俺より頼りないし
ドジだし泣き虫だし…
でもそんなんでも
不思議と名無しに関しては
わざとらしいとか
うざったいとは思わないんだよね
『リョーマ見て見て』
「どうかした?」
『ほら、この貝殻虹色になってて綺麗でしょ』
計算でも何でもない素でそう可愛く笑いながら俺に貝殻を見せてくる名無しに俺も微笑み返した時に髪の毛が唇に掛かっている事に気付いた俺はそこに手を伸ばした。
『りょ…リョーマ?』
「動かないでよ。髪の毛食べちゃってるから取ってあげるだけだし」
『あ…う…うん。ありがとう』
頬を赤く染めながらそうお礼を言う名無しの髪の毛を取り払う時に柔らかな唇に指が触れてしまい俺は思わず顔を熱くさせてしまった。
名無しの口って
凄く柔らかい
これにキスしたら
気持ち良さそうかも
「…名無し」
『え?』
俺はその唇を味わってみたくて名無しの頬に手を添えそのまま自分の唇を名無しの唇に重ねた。
『んっ…りょ…ま?』
「なんて顔してるんだよ馬鹿」
キスだけでこんなにも普段からは考えられない程の色っぽい表情をする名無しに俺は今度は深いキスを落とした。
『あっ…んむ…ふっ』
「はぁっ…美味しいじゃん。凄く癖になるね名無しの口は。こっちも癖になるかどうか確かめてみてもいい?」
『え…ひゃ!』
胸に少しだけ触れただけなのに体を震わせながら甘い声を上げる名無しに俺はまた顔を熱くさせたけど口端を上げながらそのまま名無しの胸の谷間に顔を埋めゆっくりと舐め上げた。
「ビーチフラッグやった時も思ったんだけど…名無しの肌って吸い付くようにすべすべでずっと触ってたくなるよ」
『ふっ…りょ…まっ』
本当に名無しは癖になるね
仕草も態度も唇も全部さ
こういうの何て言ったっけ
ああ、そうだ
ドラッグみたいって言うんだ
まあ実際そんなの使った事ないけど
一度知ったら止められなくなって
どろどろになるまで溺れるんだよね確か
名無しはまさにその言葉が
ピッタリかもしれない
「…やっぱ悪女じゃん。ていうか悪女以上にお前って危険な奴だね」
『はっ…え…?』
「別になんでもないよ」
悔しいけど俺はそれ以上名無しに触れて自分がどろどろになるまで溺れてしまう事に躊躇してしまい名無しから体を離した。
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