彼女の愛で方

□Lesson11
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「貝殻…」


『え?』


「拾うんでしょ?俺も手伝ってあげるからいつまでも惚けた顔してないでさっさと拾ったらいいんじゃない」


『うう…うん。そ…そうだね』


越前が何事もなかったかのようにそうからかいながら名無しに告げると名無しは恥ずかしそうに背中を向けながら貝殻を拾い始めた。


「はぁ…俺もまだまだだね」


『な…何か言った?』


「別に何でもないからこっち見るなよ馬鹿」


顔を赤くさせてしまっているのを名無しに見られたくなかった越前は帽子を深く被り直しもう一度溜め息を吐き出した。


「あ〜!リョーマ様居た〜!!今までどこに行ってたんですか?!」


「小坂には関係ないでしょ」


「名無し、どこに行ってたの?いつの間にか居なくなっててびっくりしたじゃない」


『ごめんね周ちゃん。あの、これを拾いに行ってたの』


「貝殻?」


『うん。綺麗でしょ』


瓶に一杯に詰まった貝殻を不二に見せながら名無しが微笑むと不二もそれに頷きながら微笑んだ。


「凄く綺麗だね。名無しは相変わらず貝殻好きなんだね」


『ふふ、うん』


「あ、名無しそんな所に居たの?」


『虎次郎ちゃん』


「ビーチバレー誘おうと思ってたのに居なかったから心配したじゃないか」


『ごめんなさい。貝殻拾いに行ってたの』


「なら俺が付き合ってあげたのに…まさか1人で?」


『ううん。リョーマと一緒に拾ってたの』


「リョーマ?ああ…越前か」


「ふうん。あの越前が貝殻拾いに行くなんて随分名無しの事気に入ってるみたいだね」


不二と佐伯は同時に越前に鋭い視線を送りそれを背に受けた越前は二人を訝しげな表情を浮かべながら眉を潜めた。


「なんすか」


「クスッ…なんでもないよ。ああでもこれだけは言っておこうかな。“色々”と名無しを可愛がってくれてありがとう越前」


「べっ…別に俺は可愛がってなんか…」


「何を顔を赤くしてるんだい?越前。不二はただ可愛がってくれてって言っただけじゃないか」


「佐伯さんまで何言ってるんすか。付き合ってられないっす」


顔を赤く染めながらその場を去っていく越前に何かがあったと察した二人はにこにこと微笑みながら今度は名無しに視線を向けた。


「名無し?」


『ん?』


「君、越前に何かされたでしょ」


『そそっ…そんな事…』


「嘘吐いちゃ駄目だよ名無し」


頬を赤く染める名無しに何かがあったと確信した二人は名無しの左右の手を同時に握り締めにこりと微笑んでみせた。


「クスッ…最近レッスンしてなかったしきちんとしてあげなきゃね」


「俺も協力するよ不二。どうやら名無しには自覚させる必要があるみたいだからね」





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