彼女の愛で方

□Lesson16
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「前にも話したよね。僕の愛情は人よりも歪んでるんだって」


『う…うん』


「本音を言っちゃうと僕は名無しが僕以外の人に抱かれたとしても僕はそんな事気にしない。むしろその時の名無しの表情が見てみたいとさえ思ってる」


『え…』


不二のその言葉に名無しが戸惑いの表情を浮かべるとそれに気付いた不二は困ったように微笑みながら名無しを見据えた。


「君の事が本当に大好きでずっと大切にしていきたいっていう気持ちはまず間違いなく本物だよ。けど僕以外の人達に愛でられて花を開かせる君も見てみたいっていうのも本当」


『…周ちゃんは』


「ん?」


『周ちゃんは平気なの?私が周ちゃん以外の人にその…そういう事されても…』


「平気だよって言いたい所だけど全く平気な訳でもないかな。でもそれ以上に好奇心の方が勝ってるかも」


いつもの表情を崩さずそう言ってのける不二に名無しは何て言っていいのか分からなくなってしまい再び顔を俯けてしまった。


「名無しが傷付くのも信じてられないって思う気持ちも分かるつもりだよ。けどね僕は名無しの心が僕だけの物であればいいと思ってる」


『…心だけ?』


「そう。全部を独り占めにしたいなんて傲慢な事は言わない。誰に抱かれてもいい。けれど名無しの心が僕以外に向けられちゃったらその時僕は君に何をしてしまうか分からないけどね」


『…』


「クスッ…僕の事嫌いになった?でも僕は名無しが大好きなんだ。すぐに答えを出せなんて事は言わないけどもし名無しが耐えられないって言うなら僕は…」


不二の言葉を遮るように名無しは不二にキスをし、そんな名無しの思いもしなかった行動に不二は思わず目を見張ってしまった。


「名無し?」


『…いいよ』


「え」


『いいよそれでも。周ちゃんがそれで幸せで満足だって言うのなら私は全然平気だから』


「自分が何言ってるか分かってるの名無し。僕と恋人同士であり続けるって事は名無しを傷付けかねないって事なんだよ?」


『分かってる…分かってるけどそれでも私は周ちゃんが好き。大好きなんだもん』


「名無し…」


『どんな周ちゃんでも私は好きだよ。きちんと受け入れるから…だから別れるなんて言わないで』


嘘偽りのない瞳で真っ直ぐに見据えられてしまった不二は暫く名無しを見据えたあとふっと微笑み名無しを抱き締めた。


「馬鹿だね君は。今だったら離してあげる事だって出来たのに」


『馬鹿でも何でもいい。私は周ちゃんの傍に居たいの。周ちゃんはそうじゃないの?』


「まさか。僕だって名無しの傍に居たいに決まってるじゃないか」


不二は名無しの顎に手を添えキスを落としたあと額に自身の額を付け笑みを浮かべた。








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