彼女の愛で方

□Lesson16
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「名無しちゃんこれなら食べられるかなぁ」


名無しの為にと適当に皿によそった料理を盆に乗せ食堂を出た千石は長い廊下を歩いていた。


「食べなかったら俺があ〜んとかしてあげればいっか。俺に料理を求める名無しちゃん…想像するだけでもうっ…むふふ」


「ん?千石じゃない。随分機嫌が良さそうだね」


「あれ、そういう君は不二君じゃん。もう夕飯の時間なのに真面目な君が遅れるなんて珍しいね」


「クスッ…うん。色々と用事があってね」


「ふ〜ん。“色々と”ねぇ」


訝しげな顔で不二を見据える千石に不二はクスリと笑ったあと盆に視線を移した。


「千石は部屋で食べるの?」


「違う違う。名無しちゃんが具合悪いって跡部に聞いたから部屋に持っていってあげようかと思ってさ」


「名無しの部屋に?う〜ん…今は止めておいた方がいいと思うんだけどな」


「なんで?」


「君には刺激が強いんじゃないかと思ってさ。まあ別にいいんだけどね。持っていってあげたらきっと名無しも喜ぶよ。よろしくね千石」


意味深に微笑みながら去っていく不二に千石はムッとしたものの折角の料理が冷めてしまうのもなんだと思い名無しの部屋に向かった。


「名無しちゃん起きてるかい?」


『だだ…誰ですか…?』


「誰なんて酷いなぁ。君の愛しいダーリンの俺だよお・れ」


『き…清純君?』


「そっ。入るよ〜」


『えっ、あ…あのちょっとま…』


名無しの返事を待たず笑顔を浮かべたまま千石は部屋の中に入ったが一瞬にしてその笑顔が消え去り嫌でも分かってしまう男と女の独特の汗が入り交じった匂いが鼻を掠めベッドの乱れや頬を紅潮させる名無しを眉を潜めたまま見据えた。


『あの…き…清純君?』


「…可愛がられてたの?」


『え』


「不二君にさっきまでここで可愛がって貰ってたの?」


『ち…違うよ…』


明らかに動揺をみせる名無しに千石は手に持っていた盆をテーブルの上に置いたあとベッドに腰を下ろし名無しの頬を撫でた。


「具合悪いって聞いてたから心配してたのに跡部君や皆に嘘吐いてまで不二君とセックスしたかったの?ていうか見掛けに寄らず名無しちゃんってセックス好きなんだ」


『ちっ…違う。そんなんじゃないよ』


「こんな顔してそんなんじゃないって言われても説得力ないよ」


『…わ…私にも事情があったの。それに私が何してようが清純君には関係ないじゃい。何でそんなに怒るのか分からないよ』


名無しが気まずそうに顔を背けようとしたがそれを千石は許さず今度は顎を掴み上げ自身の顔をぐっと近付けた。





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