彼女の愛で方

□Lesson16
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「ていうか何で不二君戻ってきたの?折角いい雰囲気だったのにさぁ」


「だって僕が抱いたあとの名無しを見て千石が我慢出来ると思ってなかったから。それに僕が居てもいい雰囲気作ってたのに文句言われる覚えはないんだけどね」


「文句も言いたくなるでしょ普通。あっ、名無しちゃん動かないで。上手く拭けないから」


『ああ…あの…』


「ああほら。動かないでってば名無し」


情事が済んだあと自分の体を拭きながら言い争いをする二人に名無しは照れながらも必死に止めようとしているものの先程からこの調子で口を出せないでいた。


『…タオルで拭いてくれなくてもお風呂入りに行くから大丈夫だよ』


「え〜?駄目だよそんなの。俺が汚したんだから俺がきちんと綺麗にしてあげないとね」


「そうだよ名無し。千石なんかに汚されたんだから汚れが残らないように綺麗に拭き取らないとね」


「ちょっと。俺を汚物扱いしないで欲しいんだけど」


「何言ってるの。自分で汚いって言ったんじゃないか」


「汚いとは言ってないよ。言ってたとしても君に言われるのはなんかムカつくし止めてくれないかな」


『もう二人共止めてったら!喧嘩しないでよお願いだから…』


「「名無し(ちゃん)…」」


泣きそうになりながらも自分達を止めようとする名無しに不二と千石は不謹慎だと思いながらも胸をきゅんきゅんとさせてしまった。


「ああ〜もう!名無しちゃん本当に可愛い過ぎっ。このまま君の事離したくないよ」


『きっ…清純く…苦しっ…』


「ちょっと千石。僕の名無しに馴れ馴れしくしないでよ。可哀想にね名無し。苦しかったし嫌だったでしょ」


『く…苦しいってば周ちゃん』


二人に抱き締められてしまった名無しはその苦しさに耐えかね思い切り体を捻らせするりと二人の腕から抜け出しベッドから下りた。


「あ…ちょ…ちょっと名無しちゃん?」


『もう!苦しいって言ってるのに酷いよ二人共っ』


「ふふ、ごめんごめん。そんなに怒らないでよ名無し」


『知らない!』


ぷいっと二人から顔を背けた名無しは手荷物を持ち部屋から出ていこうとしたのでそれを慌てて千石が呼び止めた。


「どこ行くの名無しちゃん!」


『…お風呂行くだけです』


「なら俺も一緒に…」


『来なくていいですから!』


今度こそ部屋を出て行ってしまった名無しに千石は困惑してしまったがクスクスと笑い声が聞こえてきたので不二に視線を向けた。





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