番外編
□華麗なる高杉様の1日
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「遅いですよ河上さん」
「いやすまぬ。さっきまで猫と戯れてたら少し遅れてしまったでござる」
「猫?クックッ…なんだ万斉。お前新しい女でも見付けたのか」
「そうでござる。可愛らしい猫なのでござるがどうにも気性が荒くてな」
気性が荒いってなんですか。
そもそも貴方が祭り以来隙あらば私に迫ってくるのがいけないんじゃないですか。
晋助…貴方呑気に笑ってる場合じゃないですよそこ。そこはいつもみたいに怒る所ですから。
「そういえばまた子さんがまだ来ていないようですが…」
「また子なら俺の用事の遣いで出掛けて貰った」
「ほう。晋助が用事とは珍しいでござるな。してそれはどんな遣いでござるか?」
「名無し子の下着買って来いと頼んだ。あいつ最近でかくなったのにまだきついの付けてやがるからな」
「それはそれは…晋助殿、そこを詳しく教えては…グハッ!」
「ど…どうしたでござるか」
「い…いえ…何か頭に当たって…ん?これは…」
や…やっちゃった…
だって武市さんがあまりにも気持ち悪い顔して変な事言うからついつい護身用の催涙スプレー投げちゃったわよ。
私がバレやしないかとはらはらと様子を伺っていると武市さんは首を傾げただけで特に気にする風でもなくそれを二人に向かって差し出した。
「これが飛んできました」
「これは…催涙スプレーではござらんか。何でこんな物が飛んで来るでござる」
「そう言われましても…」
「んなこたぁどうだっていい。それよりそろそろ出掛けんぞ」
「いつもの場所で間違いないですよね」
「ああ」
「しかし晋助も好きでござるな」
ん?何処かに出掛けるみたいね。
それにいつもの場所でって事は相当そこに行ってるって事よね…?
それに好きでござるってなに。
「まあな。わざわざ出向くんなら遊郭街が一番だろ」
ゆゆっ…遊郭?!
晋助ったら私が居ない事をいい事にそんな所に行ってたなんてっ。
私が銀ちゃんの所行くだけで浮気浮気って騒ぐ癖にどうなのかしらそれは。
怒りから震える体をなんとか抑えながら私は珍しく楽しそうに笑う晋助を睨み付けた。
「それを聞いたら吉田名無し子が怒るでござるよ」
「名無し子が?ふん…あいつぁ理解ある女だかんな。例えバレた所で怒りゃあしねえだろ」
え、怒ってますよ?
かなり怒ってますよ?
というか勝手に理解ある女だとかなんだとか決め付けないでよ。
ああ…駄目だ
凄く苛々する…
そっちの女がいいなら
遠慮せずそっちいけばいいじゃないの
このエロ杉変助がっ!
どうしようもないこの怒りを何とか…本当に何とか抑えつけながら私は再び身を隠し楽しそうに河上さん達と部屋を出ていく晋助を複雑な心境で眺めていた。
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