番外編
□華麗なる高杉様の1日
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『遊郭行く為とはいえ男装までしちゃう私って一体…』
そうよ。
これは仕方のない事なの。
だって遊郭行くのに流石に女の姿のままじゃ行けないしかと言ってまた遊女になったら高確率で晋助の側に行けるだろうけどバレるのは確実だしやっぱりこれしかないもんね、うん。
無理矢理自分自身を納得させた私は男装する前にしっかりと何処の遊郭に晋助達が入っていったかリサーチ済みだったので男らしく振る舞いながら件の遊郭へ足を踏み入れた。
「いらっしゃ〜い!おっ、旦那随分綺麗な顔してますね」
『え?あ、はは。そんな事はないよ』
「で、今日はどの娘をご指名で?」
『そうだな…』
さて…この写真の中にちょっとお喋りな子は居ないかしら。
そういう子の方が何かと都合がいいんだけどな。
いや、でも晋助程のシークレットなお客様の情報を持っているとなるとやっぱり花魁クラスの方がいいのかしら。
私は吟味に吟味を重ね一番気になった花魁の写真を指差しにっこりと微笑んだ。
『俺はこの子がいいな』
「え、紫水さんですか?申し訳ないんですがお客さん、紫水さんは今日は貸し切りなんですよ」
『貸し切り?花魁を貸し切りになんて出来るものなのかい?』
「へい。うちの常連さんでしていつもご贔屓にして頂いてるもんで」
その話を聞いた私はすぐその“常連”というのが晋助達の事だと理解した。
だってさっきの晋助達の会話とこの男の話を合わせれば容易にそうだと分かるもの。
上がっていく口端を抑えながら私は男に正規の料金とは別にそれなりの額を手渡し笑みを浮かべて見せた。
『これでどうにか出来ないかい?俺はどうしてもこの紫水さんがいいんだけど』
「そ…そこまで仰って頂けるのなら少しの間だけならば…」
『ありがとう。ああ、それからそっちこっちと行ったり来たりしたら紫水さんが大変だろうし俺は紫水さんが今居る部屋の隣の部屋で構わないから』
「へい!それじゃあ早速お部屋にご案内しやす」
『ああ、頼むよ。それから酒は上等な酒を頼んだよ』
「分かりやした」
うんうん。
やっぱりこういう世界ってお金が物をいう世界なのね。
余裕を持ってお金持ってきておいて本当に良かったかも。
それにしても“紫水さん”ってどんな女性なのかしら。
晋助が夢中になっちゃう位なんだから凄くいい女なんだろうな…
少なくともストーカー染みた事してる私なんかよりよっぽどね。
自分で自分に追い討ちを掛けている内に部屋に着いたのか男に部屋の中へ通されここで待つようにと言われたので私は大人しくそれに頷き用意されていたお酒を少しだけ呑んだあと隣の部屋と繋がる襖に耳をあてた。
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