番外編
□華麗なる高杉様の1日
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「で?」
『いや、でって言われましても…』
「いい加減惚けんのは止めろ。なんでお前が男装までしてここに居るのかきちんと話して貰おうじゃねえか」
別の部屋に連れ込まれた私は晋助に詰め寄られるようにそう凄まれたが果たして1日尾行してましたなんてこの目の前の人物に素直に言ってしまっていいものかどうか悩んでしまった。
『だ…』
「は?」
『男装してその…ゆ…遊郭に一度来てみたかったんだよね。な…なんて言うのかな…ほら、あれよあれ!ほんの出来心っ』
「ほう。そいつぁあれか?お前は突っ込む事も何も出来ねえ癖に男装してまで遊郭の女を抱きたかったってえ事は女同士でしたかったって事だよな。ふん、随分な性癖持ってんじゃねえか名無し子ちゃんよぉ」
『ちち…違うし!私は別にそんな…』
「おい…次また嘘吐いてみやがれ。そんときゃ酷い目に合うぞ」
『ううっ…』
「何で、どうして、お前が男装してここに居んのか説明しろ」
再び詰め寄ってくる晋助の瞳の中から嘘を吐いたら本気で酷い目に合わせるという恐ろしい意志が伝わってきたので私は
顔を俯け言葉を紡いだ。
『…気になってたから』
「何がだよ」
『わ…私が万屋に仕事行ってる時に晋助が何をしてるのかずっと気になってたの!だから今日朝から晋助の事尾行してたのっ』
「…今朝から妙な視線感じると思ってたらお前だったのかよ。下手に気配消せると質わりぃな」
『ほ…本当は私だって男装するつもりも遊郭に来るつもりもなかったわよ。けど晋助があまりにも楽しそうに遊郭の話してたからちょっと不安になっちゃって…』
私が一通り話終えると晋助が呆れたような溜め息を吐き出したので私は内心嫌われてしまったんじゃないかと動揺しながら自然と浮かんできてしまう涙を流してしまわないようにゆっくりと晋助を見上げた。
『あの…あのね?しっ…晋助が紫水さんが好きだって言うんならわたっ…私は素直に晋助の事諦めるから…だからそうならそうだってはっきり言って。私じゃ到底紫水さんみたいにいい女になれないし気も利かせる事出来ないしそれに…』
「言いてえ事はそれだけか」
『え』
「だからお前の言いてえ事はそれだけかと聞いてんだよ」
『な…何よその言い方はっ。私がどんな思いで…』
「何を勘違いしてんだか知らねえが俺ぁそっちの気はねえぜ」
『は?』
「言っておくが紫水はれっきとした男だ」
『え…ええ?!』
晋助から驚くべき事実を聞かされた私は目を見張ってしまいながら思わず大声を上げてしまった。
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