番外編

□初めてのキモチ
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「へえ、じゃあ参考書買いにきたんだ」

『うん、そうなの』

「それ重そうだね。持ってあげるよ」

『い…いいよ。大丈夫』

「なぁに言ってるの名無しさんちゃんは。重い物は男が持つって決まってるんだから遠慮なんかしなくていいよ」

『でも…』

「はは、全く君も相変わらず強情だね。貸して」

『あ』

俺が強引に名無しさんちゃんの手から参考書が入った袋を取ると名無しさんちゃんが申し訳なさそうな表情を浮かべたので俺は笑いながら空いている方の手で名無しさんちゃんの小さな手を握り締めた。

『きき…清純君?』

「送っていってあげるよ。名無しさんちゃんみたいな可愛い子が1人で歩ってたら危ないし」

『あの…あ…ありがとう。でもそれじゃあ清純君に悪いよ』

「悪くない悪くない。むしろラッキーだしね」

『あ、じゃああの何かお礼を…』

「え〜?いいよそんなの」

『そうはいかないよ』

「う〜ん…そこまで言うのならじゃあジュースでも奢って貰おうかな」

『そ…それでいいの?』

「それがいいの。あの時と同じように公園行って飲もうよ。俺、名無しさんちゃんともっとゆっくり話したいしさ。いい?」

『う…うん。その位の事ならいいよ』

俺は心の中でガッツポーズを作りながら名無しさんちゃんの手を引き近場の公園に入っていった。
うんうん、やっぱりこうも暗くなると人気もないしそれにいい雰囲気でいいよね。

「名無しさんちゃん何飲む?」

『え?えっと何飲もうかな。ココアもいいし紅茶もいいし…』

「プッ!もうしょうがないなぁ名無しさんちゃんは。ちょっと待って」

『あっ、いいよ。私が…』

「いいの。俺が君に買ってあげたいんだからさ」

『でもそれじゃお礼にならないよ』

「もうとっくにお礼は貰ってるし。名無しさんちゃんは俺に付き合って公園に来てくれたでしょ?だからこれはそのお礼のお礼だよ」

名無しさんちゃんは始め大きな目を更に大きくして俺の事を見つめていたけどそれがすぐに細められコロコロと鈴を転がすように笑い始めた。
ん?俺何かおかしな事言ったかな。
でもまあ名無しさんちゃんが笑ってくれるのならなんでもいっか。
そう思いながら俺も名無しさんちゃんに向かって笑ってみせた。

「座って名無しさんちゃん」

『うん』

「はい、これココア。もし紅茶飲みたくなったら言ってね。俺のあげるから」 

『い…いいの?』

「勿論。その代わり俺にもココア少しだけ飲ませてね」

『うん!あ、少しだなんて言わないで沢山飲んでね』

「あはは、沢山はいらないよ。沢山飲んで名無しさんちゃんに泣かれちゃっても嫌だし」 

『こっ…子供じゃないんだから泣きません!』 
 
「ああごめんごめん。謝るから怒らないでよ」

全く悪びれのない謝罪をしながら俺はそっぽを向く名無しさんちゃんの頭を撫でてあげた。
う〜ん。
相変わらずさらさらで手触り最高だね。
勿論手触りが最高なのはこの髪だけじゃなくて肌もだけどさ。
それになんてったってあの時の表情と声がもう堪らないったら…
俺は名無しさんちゃんを見つめながらうっかりとあの日の行為を思い出してしまい熱くなってしまった顔と下半身を悶々としつつも必死に抑えた。







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